マスク氏がOpenAIを提訴:非営利の理念を裏切りマイクロソフトの実質子会社化したと主張
イーロン・マスク氏が木曜夜、OpenAIとサム・アルトマン氏らを相手取りサンフランシスコの裁判所に提訴しました。人類への貢献という設立当初の合意に反し、マイクロソフトの利益を最大化する営利企業へ変質したと主張。GPT-4をAGIと認めてライセンス供与を禁じることなどを求めています。

かつて巨大テックによるAI独占を阻むため、全人類の利益のためにオープンソースで研究を進めると誓い合った仲間たちが、法廷で泥沼の争いを始めました。
イーロン・マスク氏は木曜夜、OpenAIとそのサム・アルトマンCEO、グレッグ・ブロックマン社長らを相手取り、サンフランシスコの裁判所に訴訟を提起しました。非営利組織としての設立時の合意を破り、商業的な利益追求のために技術を私物化したというのがその主張です。
4400万ドルの寄付と「マイクロソフトの事実上の子会社化」
ロサンゼルスの法律事務所アイレル&マネラが提出した訴状によると、マスク氏は2016年から2020年9月までの間に4400万ドル以上を寄付し、創業初期の最大出資者としてOpenAIを支えました。
マスク氏の主張では、アルトマン氏らは設立当時、グーグルに対抗するオープンで非営利の研究機関にすると約束していました。しかし、マイクロソフトから約130億ドルの巨額出資を受け入れたことで、OpenAIは世界最大のIT企業の「事実上のクローズドソース子会社」へと変貌したと訴状は指摘しています。
訴状にはOpenAI傘下の8つもの関連会社が列挙され、複雑化した組織構造が暴かれています。さらにマイクロソフトのサティア・ナデラCEOが最近のインタビューで語った「仮に明日OpenAIが消えても、当社にはすべての知財、人材、計算資源、データがある」という発言を引用し、OpenAIがマイクロソフトの利益を最大化するために奉仕している証拠だと主張しています。
GPT-4はAGIなのか、法廷で問われる定義
今回の訴訟の最大の火種は、フラッグシップモデルであるGPT-4の扱いです。
マスク氏は、GPT-4はすでに人間と同等以上の知能を持つ汎用人工知能(AGI)に達していると主張しています。設立時の取り決めに従えば、AGIは人類共通の財産として扱われるべきであり、営利目的のライセンス対象にはできないはずだという理屈です。
マイクロソフトは2020年にGPT-3の独占ライセンスを取得していますが、GPT-4以降の商業利用を維持するために、OpenAIとマイクロソフトは意図的にGPT-4をAGIと認めようとしないとマスク氏は批判しています。
さらに訴状は、昨年末のアルトマン氏解任劇の後に刷新された取締役会にも言及しています。現在のボードメンバーはビジネスや政治の経験者が中心で、かつての理事で残ったのはQuoraのディアンジェロCEOのみとなり、Q*のような最新ブレイクスルーがAGIに達しているかを正しく評価できる技術的知見が欠落していると糾弾しました。
マスク氏はOpenAIに対し、元のオープンソース原則への回帰、GPT-4がAGIであるとの司法判断、技術の私的収益化の差し止め、そして過去の寄付金の返還などを求めています。
なぜ重要か
一般の開発者や企業にとって、この裁判はAI業界の透明性を大きく左右する分岐点になります。もし司法の命令によってGPT-4の技術詳細の開示が進めば、オープンソース陣営にとっては巨大な追い風になります。そこまで至らなくとも、証拠開示手続きを通じて、極秘プロジェクトQ*の実態や昨年の解任劇の舞台裏が法廷で明らかになる可能性があります。
業界全体にとっても、非営利法人と営利企業を組み合わせたOpenAI特有のハイブリッド構造の欺瞞が白日の下に晒される意味は大きいです。公益を看板に掲げて免税や寄付を受けながら、最終的に巨大テックの利益エンジンに化けるやり方が法的に許されるのか、今後のスタートアップ投資のルールを揺るがすことになります。
私たちは、マスク氏の指摘がOpenAIの痛烈な急所を突いていると考えます。非営利の理念から閉源・商業主義への急旋回は、誰の目にも明らかな事実だからです。しかし同時に、マスク氏自身も昨年xAIを立ち上げて対抗チャットボット「Grok」を展開している当事者です。人類の安全という大義名分を掲げつつ、訴訟によって最強のライバルの足を引っ張るという、極めてしたたかなビジネス戦略の側面も色濃く滲み出ています。
情報源 (2)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
- courthousenews.com(新しいタブで開きます)報道courthousenews.com
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