マスク氏、OpenAI訴訟を修正:賠償金は自身でなく非営利部門へ
火曜日、マスク氏はOpenAIと同社CEOのサム・アルトマン氏に対する訴訟内容を修正し、得られる賠償金は全額OpenAIの慈善非営利部門に返還されるべきだと主張した。懲罰的損害賠償を退けた裁判官の判断を受け、訴訟を維持するための戦略転換とみられる。
数千億ドル規模の巨額訴訟を起こしておきながら、勝ち取った賠償金は1ドルも受け取らず相手の元々の組織に寄付する。イーロン・マスク氏がOpenAIを巡る泥沼の法廷闘争で、大胆な方針転換を見せました。
マスク氏は今週火曜日、OpenAIとそのCEOであるサム・アルトマン氏、そして米Microsoftを相手取った訴訟の訴状を修正しました。裁判で不当利得として回収される賠償金について、マスク氏自身ではなくOpenAIの設立時の慈善非営利団体に全額返還するよう裁判所に求めています。
個人への賠償を放棄しアルトマン追放を要求
マスク氏の代理人を務めるマーク・トベロフ弁護士は、The Wall Street Journalに対して、マスク氏は自身のために1ドルたりとも求めていないと語りました。訴訟がライバルを妨害するための嫌がらせだというOpenAI側の主張を無力化する狙いがあります。
修正された訴状では、金銭的な請求先を変更するだけでなく、経営陣への直接的な攻撃を強めています。アルトマンCEOやグレッグ・ブロックマン社長に対し、保有株式や経済的利益を非営利財団に返還することや、アルトマン氏を財団の取締役会から解任することを求めています。
これに対しOpenAIはX上で、今回の訴訟はエゴと嫉妬、そして競合他社を遅らせたいという欲求に駆られた嫌がらせキャンペーンだと反論しました。OpenAIは現在8520億ドルの評価額を誇りIPOを計画しており、デラウェア州とカリフォルニア州の司法長官に対してマスク氏の行動を調査するよう要請しています。
裁判官の判断に追い詰められた末の奇策
一見すると高潔な寄付の申し出に見えますが、実態は裁判官から突きつけられた厳しい現実に対応するための窮余の策です。
訴状修正の1週間前、米連邦地裁のイボン・ゴンザレス・ロジャーズ判事はマスク氏の懲罰的損害賠償請求を却下しました。マスク側の専門家は、初期の3800万ドルの寄付からOpenAIとマイクロソフトが生み出した不当利得を1340億ドル近くに上ると試算していました。
しかし判事は、その不当利得をマスク氏自身が受け取るべき根拠が示されていないと判断しました。また、被告が寄付の成果を慈善目的以外に使用するたびに損害が蓄積されたとするマスク氏側の主張も退けました。つまり、請求先を非営利団体に変えなければ、訴訟そのものが立ち行かなくなる瀬戸際だったわけです。
なぜ重要か
今回の戦略転換は、4月にカリフォルニア州オークランドで始まる予定の裁判を前に、マスク氏が打った巧妙な一手と言えます。
OpenAIは現在8520億ドルという天文学的な企業価値を背景にIPOへの道を進んでいます。マスク氏が訴訟を通じて非営利から営利への移行プロセスを執拗に追及し、仮に公益資産の不正流用が争点として認められれば、OpenAIの資本政策やガバナンス体制に重大な影響が及ぶ可能性があります。
私たちは、マスク氏のこの動きを法的に追い込まれた中での極めて現実的な打開策であると見ています。私腹を肥やす目的ではないと宣言することで世論と陪審員に向けた倫理的な優位性を確保しつつ、要求の矛先をアルトマン氏の解任と株式返還という核心部分に絞り直した格好です。ただし、2017年の記録にはマスク氏自身が営利部門の追加に合意していた経緯も残っており、法廷で主張を通し切るのは依然として容易ではないと考えられます。
情報源 (3)
- wsj.com(新しいタブで開きます)原文wsj.com
- arstechnica.com(新しいタブで開きます)報道arstechnica.com
- the-decoder.com(新しいタブで開きます)報道the-decoder.com