マスク氏、OpenAI訴訟でマイクロソフトを被告に追加 反競争的行為を主張
イーロン・マスク氏はOpenAIを相手取った訴訟の修正訴状を提出し、マイクロソフトやリード・ホフマン氏らを新たな被告に加えた。原告には自身のAI企業xAIも参加。OpenAIとマイクロソフトが「実質的な合併」を通じて市場を独占し、競合を排除していると主張している。

イーロン・マスク氏とOpenAIの法廷闘争が、本格的な反トラスト法違反の争いへと局面を変えました。
カリフォルニア州オークランドの連邦地裁に提出された107ページに及ぶ修正訴状で、マスク氏は被告に米マイクロソフトを正式に追加しました。さらにLinkedIn共同創業者のリード・ホフマン氏、元OpenAI取締役会オブザーバーでマイクロソフト幹部のディー・テンプルトン氏、そしてカリフォルニア州司法長官のロブ・ボンタ氏も被告に名を連ねています。
原告側にも新たな顔ぶれが加わりました。マスク氏自身のAI企業であるxAIと、元OpenAI取締役でニューラリンク幹部のシボン・ジリス氏が共同原告として参加しています。
「実質的な合併」と市場独占の告発
今回の修正訴状の大きな特徴は、当初の理念違反という主張から、反トラスト法を軸にした攻勢へ舵を切った点です。訴状では、OpenAIが生成AI市場の約70%を握る事実上の独占状態にあると主張しています。
さらにOpenAIが投資家に対し、xAIなどの競合他社に出資しないよう誓約を求めて市場から締め出そうとしていると指摘しました。また、マイクロソフトとの関係を事実上の合併と呼び、他社には到底得られない有利な条件で計算資源の提供を受け、機密情報を排他的に共有していると批判しています。
役員の兼任問題も追及されています。ホフマン氏がOpenAI、マイクロソフト、そして出資元のグレイロックの間で不当に機密情報へアクセスできる立場にいた点や、テンプルトン氏がオブザーバーを務めたことが競合情報の共有を禁じる反トラスト法規則に抵触すると主張しています。
2018年にAltman氏が提案した暗号資産計画
訴状には、OpenAIが利益上限付き法人へ移行する前の2018年1月に交わされた未公開メールも証拠として添付されていました。
サム・アルトマン氏が当時、資金調達のために独自の仮想通貨発行(ICO)をマスク氏に提案していたという内容です。アルトマン氏は安全チームからの懸念に触れつつも内々に検討を進めようとしていました。
これに対しマスク氏は即座に反対メールを送信し、ICOを行えばOpenAIと関係者全員の信用が完全に失われるとして計画を却下したとされています。
OpenAI側はこれまで通り、マスク氏の訴訟は根拠のない威嚇にすぎないとして棄却を求める構えを崩していません。
なぜ重要か
今回の動きは、個人的な確執から冷徹なビジネス上の妨害工作へと性質が完全に変化したことを意味しています。
最大の狙いは、OpenAIが進めている完全な営利企業への組織変更手続きの阻止にあると見られます。OpenAIがカリフォルニア州当局と組織再編について協議しているこのタイミングで、州司法長官まで巻き込んだ訴訟を起こしたマスク氏の手法は、手続きを停滞させる手段として極めて計算高いと言えます。
AI業界全体にとっても、クラウド大手と新興AIラボの密接すぎる関係性が公の場で厳しく問われる契機になります。排他的なインフラ優遇や役員の重複が反競争的とみなされれば、大手IT企業が推進してきたスタートアップ支援のビジネスモデルそのものが見直しを迫られる可能性があります。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com