米Google、ChatGPT台頭で「コードレッド」発令か 検索事業防衛へ体制再編
報道によると、米Google経営陣がOpenAIの「ChatGPT」による検索事業への脅威を受け、社内に「コードレッド(非常事態)」を発令した。ピチャイCEOは複数部門に対抗策の策定を指示。広告依存度の高い検索ビジネスの防衛に向け、AI製品化を急ぐ。
過去20年以上にわたり、調べ物の代名詞であり続けた「ググる」という行為が、かつてない揺らぎを迎えています。
米紙ニューヨーク・タイムズなどが12月23日に報じたところによると、米Google経営陣はOpenAIが公開した対話型AI「ChatGPT」を受け、社内に「コードレッド(非常事態)」を発令しました。
スンダー・ピチャイCEOは複数のチームに対し、検索事業を脅かすChatGPTへの対抗策にリソースを再配分するよう指示したとされています。
従来の検索を揺るがす対話型AIの衝撃
従来の検索エンジンは、入力されたキーワードに一致するウェブページを一覧表示し、ユーザー自身に答えを探させます。
一方のChatGPTは、ユーザーの意図を直接汲み取り、整理された自然な文章で回答を生成します。
OpenAIの公式ブログによれば、対話形式を採用したことで、追加の質問への回答や間違いの承認、誤った前提への反論、不適切な要求の拒絶などが可能になりました。
皮肉なことに、対話型AIの基盤技術の開発にはGoogle自身も大きく貢献してきました。しかし今、新興企業がその技術を武器に検索の牙城を崩そうとしていることに、同社は強い警戒感を抱いています。
もっとも、ChatGPTには明確な弱点もあります。学習データは2021年までにとどまり、インターネットに接続して最新情報を取得することはできません。
もっともらしい嘘(ハルシネーション)を自信満々に答えてしまう現象も確認されており、開発元も回答が冗長になりがちである課題を認めています。
広告収益8割の巨人が抱えるジレンマ
Googleには「LaMDA」と呼ばれる独自の高性能対話モデルがあるにもかかわらず、なぜChatGPTのような対抗サービスをすぐに出せないのでしょうか。
最大の要因はビジネスモデルです。昨年の同社売上高の80%以上はデジタル広告が占めており、無料のチャット画面で答えを完結させると、検索結果に広告を表示する既存の仕組みと衝突してしまいます。
また、誤情報を出力した場合の企業ブランドへの打撃も、新興企業とは比較になりません。
CNBCによると、GoogleのAI責任者ジェフ・ディーン氏は先週、言語モデルを表舞台の製品に組み込みたい考えを示しつつも、「正しく機能させることが極めて重要だ」と慎重姿勢を強調していました。
なぜ重要か
今回のコードレッド発令は、大企業が直面する典型的な「イノベーターのジレンマ」を浮き彫りにしています。Googleに技術がないのではなく、既存の巨大な広告ビジネスを守る必要があるがゆえに身動きが取れなくなっている状態です。
ユーザー視点で見れば、ChatGPTはリアルタイム検索や事実確認の面でGoogleを完全に代替できる段階にはありません。しかし、文章作成やプログラミング、概念の整理といったタスクにおいては、すでに従来の検索を上回る効率を提供しています。
業界全体にとっても、盤石と見られていた検索市場に初めて本格的なゲームチェンジの兆しが現れた意味は大きいです。競合他社が対話型AIを製品に統合していけば、Googleも痛みを伴う事業変革を余儀なくされます。
Googleが優秀な研究開発力を持ち合わせていることは確かです。ただし、収益の柱である広告モデルを自ら破壊してでも新しい対話型インターフェースへ移行できるのか、巨大テックの決断が試されています。
情報源 (3)
- cacm.acm.org(新しいタブで開きます)原文cacm.acm.org
- nytimes.com(新しいタブで開きます)報道nytimes.com
- the-independent.com(新しいタブで開きます)報道the-independent.com