YouTubeがAI新方針を発表:歌手の声を模倣したAI楽曲の削除申請が可能に
YouTubeは生成AIコンテンツに関する新たなガイドラインを発表した。来年からリアルなAI生成動画へのラベル付けを義務付けるほか、提携レコード会社が所属歌手の歌声を模倣したAI楽曲の削除を申請できるようにする。音楽分野ではパロディの抗弁も認めず、業界保護を最優先した形だ。

フランク・シナトラの声で現代のロックを歌わせるAIカバー動画は、二次創作なのか、それとも権利侵害なのか。著作権法の結論が出る前に、YouTubeが独自の審判を下し始めました。
YouTubeは生成AIによるディープフェイクや音声クローンに対する新たな管理方針を発表しました。来年からクリエイターは、リアルに見える合成コンテンツを投稿する際に申告ラベルを付けることが義務付けられます。選挙や紛争などのセンシティブな分野では、動画画面の上部に警告が表示されます。
未申告の動画は削除や収益化停止の対象となりますが、YouTube広報のJack Malon氏によると、未申告のAIコンテンツを正確に見抜く検出ツールはまだ開発中であり、現状の判定技術は信頼性が乏しいのが実情です。
音楽レーベルに与えられた特権
とりわけ厳しいのが音楽コンテンツへの対応です。YouTubeは提携レーベルに対し、所属アーティスト特有の歌声やラップの声を模倣したAIコンテンツの削除を申請できる専用窓口を用意します。
驚くべきは、パロディや風刺といった従来のフェアユース的な抗弁が、この音楽ルールでは一切認められない点です。レーベルが認めなければ即座に削除対象となり、例外はニュース報道や技術的批評などに限られます。
一般人が顔や声を無断で模倣された場合は、既存のプライバシー侵害申告フォームを使うことになります。この場合、YouTubeは風刺表現に当たるか、本人が公人かなどを個別に審査するため、音楽業界向けとは明確に格差がつけられています。
なお、初期段階ではこの特別措置は自動検知システムのContent IDには組み込まれず、手動フォームで処理されます。また、申し立てにより動画が削除されても、投稿者に対して違反警告などのペナルティは直ちには科されない方針です。
なぜ重要か
私たちは、YouTubeが司法の判断を待たずに独自の私的法廷を打ち立てたと見ています。
歌手の声質を学習させて歌わせることが違法かどうかは、法的にまだ定まっていません。それでもYouTubeがここまで踏み込むのは、TikTokとの音楽発掘競争の中で、楽曲ライセンスを握る大手レーベルの機嫌を損ねるわけにはいかないからです。
AIカバーで急成長してきたクリエイターにとって、このグレーゾーンの宴は終わりに近づいています。商業歌手の声を使ったパロディ動画はいつでも消されるリスクを抱えることになり、コンテンツ戦略の見直しが必要です。
さらに目立つのは、親会社Googleのダブルスタンダードです。自社のAI開発のために世界中のウェブサイトを無断でスクレイピングする一方で、自社プラットフォーム上では音楽利権の保護を最優先に掲げています。この矛盾した態度は、今後のAI著作権をめぐる議論で強い批判を浴びることになりそうです。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
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