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業界動向

YouTubeとユニバーサル音楽、音楽AI原則と育成プログラムを発表

公開 拡散指数 39

YouTubeはユニバーサル・ミュージック・グループと連携し、音楽AIに関する3つの基本原則と「音楽AIインキュベーター」を発表しました。ライアン・テダーら著名アーティストがAI実験に参加し、Content IDなどの権利保護も強化します。生成AI時代の著作権と収益化を両立させる狙いです。

生成AIが音楽シーンを急速に塗り替える中、著作権を巡る対立ではなく、協調路線を選ぶ動きが出てきました。

YouTubeのCEOであるNeal Mohan氏は8月21日、世界最大手のレコード会社であるユニバーサル ミュージック グループ(UMG)と提携し、音楽AIに関する新たな基本原則を策定したと発表しました。あわせて、共同で実験を進める「Music AI Incubator」を立ち上げます。

豪華アーティストを集めた実践型インキュベーター

発表された基本原則の柱は3点です。AI技術を責任を持って受け入れること、アーティストの保護と新たな収益機会の創出を両立すること、そしてAI時代に合わせてプラットフォームの安全対策を強化することです。

この理念を形にするため、YouTubeはUMG所属の多彩なアーティストやプロデューサーをインキュベーターに招きました。

参加メンバーには、世界的ポップスターのAnitta氏をはじめ、ABBAのBjörn Ulvaeus氏、名プロデューサーのDon Was氏、Juanes氏、Louis Bell氏、作曲家のMax Richter氏、Rodney Jerkins氏、シンガーソングライターのRosanne Cash氏、OneRepublicのRyan Tedder氏、ラッパーのYo Gotti氏、さらにFrank Sinatra氏の遺産管理団体などが名を連ねています。

彼らはYouTubeが開発している生成AIの実験機能や研究に直接触れ、フィードバックを提供する役割を担います。Neal Mohan氏によると、2023年だけでYouTube上の生成AIツール関連動画の再生回数は17億回を超えており、すでに無視できないカルチャーとして定着しています。

Content IDを生成AI時代へアップデート

YouTubeがレーベル側を巻き込めた最大の強みは、著作権管理システム「Content ID」の実績にあります。

Content IDはこれまで音楽業界に数十億ドル規模の収益をもたらしてきました。しかし、ボーカルの音声クローンやAIによる自動生成楽曲が急増する中、従来の検知ルールだけでは権利者を守りきれません。

YouTubeはAIを用いた検出技術や信頼・安全性チームへの投資を拡大し、商標や著作権の悪用、誤情報の拡散を防ぐ方針を示しています。具体的な収益化モデルや新ポリシーは、今後数か月以内に順次公開される予定です。

なぜ重要か

私たちは、YouTubeのこのアプローチは非常に現実的でスマートだと考えています。

AIカバー曲のバイラルヒットを巡り、大手レーベルとテック企業の間では法廷闘争の火種がくすぶっていました。かつて音楽業界がMP3や初期のファイル共有ソフトに猛反発した歴史を繰り返すのではなく、YouTubeは初期段階でレーベルと利益配分の枠組みを握りにいきました。

一般のクリエイターにとっても、正規のライセンスに基づいたAI楽曲制作や収益化の道筋が見えてくるのは大きな前進です。権利侵害におびえることなく、公認のAIツールを使って創作できるようになる可能性があります。

一方で懸念されるのは、ルールの固定化です。UMGのような超大手と著名アーティストが主導して決めたガイドラインは、インディーズの音楽家やオープンソース系開発者にとって参入障壁が高くなる恐れがあります。

それでも、法的な威嚇でAIを締め出そうとするのではなく、Frank Sinatraの遺産管理団体まで巻き込んで実験場を作ったYouTubeの手腕は、業界全体の標準作りに先行したと言えます。

情報源 (1)

  1. [1]
    blog.youtube(新しいタブで開きます)原文blog.youtube

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