トランプ米政権、バイデン前政権の「AI拡散規制」を正式撤回
米商務省は発効予定だったバイデン前政権の「AI拡散規則」を正式に撤回した。世界各国を3層に分類して課す予定だったAI半導体の包括的な輸出規制を取りやめ、今後は各国との個別交渉に切り替える方針。一方で、ファーウェイ製昇騰チップの利用に関する規制順守は改めて警告した。

バイデン政権が定めたAIチップの包括的な輸出規制が、施行直前に撤回されました。
米商務省は5月15日に発効予定だった「人工知能拡散規則(Artificial Intelligence Diffusion Rule)」を正式に取り消し、職員に対して適用を見送るよう指示しました。商務省は将来的に代替案を策定する方針ですが、ブルームバーグの報道によると、一律の制限ではなく各国との直接交渉を軸にする見通しです。
世界を3分割する枠組みを廃止
バイデン前大統領が1月に打ち出したこの規制は、世界の国々を3つのグループに分類するものでした。
日本や韓国などの第1グループは制限を受けず、中国やロシアなどの第3グループは従来通り厳しい規制対象となります。一方で、メキシコやポルトガルを含む第2グループには初めてAIチップの輸出枠が設けられる予定でした。
商務省はこの方針について、米国のイノベーションを阻害し、多数の同盟国を「二流」に格下げして外交関係を損なうものだと批判しています。
ただし規制の撤回と同時に、商務省はファーウェイのAIプロセッサ「Ascend」を世界中のどこで使用しても米国の輸出規制違反になると警告しました。また、米国のAIチップを使って中国国内でモデルを訓練することへの警戒も呼びかけています。
サウジ訪問の裏で進んだ規制緩和
この決定によって最も大きな恩恵を受けるのは、AI半導体市場で約90パーセントのシェアを握るNvidiaです。バイデン政権のルール発表直後、同社は政策を「誤り」だと批判していました。
発表が行われた火曜日、Nvidiaのジェンスン・フアンCEOはトランプ大統領とともにサウジアラビアのリヤドで開催された投資サミットに参加していました。会場にはイーロン・マスク氏、AMDのリサ・スーCEO、OpenAIのサム・アルトマン氏らも同席していました。
ワシントン・ポスト紙によると、トランプ大統領はサウジのムハンマド皇太子に対し、トップ企業が現地から巨額の契約を持ち帰ることになると率直に語ったと報じられています。
なぜ重要か
米国のAI戦略が、規則に基づく包括的制限から、個別の取引と外交交渉によるアプローチへと大きく舵を切ったことを示しています。
クラウド事業者やデータセンターを構築する企業にとって、間近に迫っていたハードウェアの調達制限がひとまず回避された形です。第2グループに指定されるはずだった地域の開発者も、複雑な申請手続きなしに最新チップを導入できる状態が維持されます。
私たちの見解では、一律の輸出規制を解除した判断は、ファーウェイなどの代替製品に海外市場を奪われないための現実的な防衛策と言えます。米国のチップを締め出しすぎれば、他国の顧客が中国製ハードウェアに流れるリスクがあったためです。
一方で、客観的なルールを廃して個別交渉に依存するやり方には懸念も残ります。外交関係や政権の方針次第で調達の可否が左右されることになり、長期的なサプライチェーンの見通しには不確実性がつきまといます。
情報源 (2)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
- theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com
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