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業界動向

米政府、AI拡散に関する新規則を発表 同盟国向け規制を撤廃し先端モデル保護へ

公開 拡散指数 44

米バイデン・ハリス政権は「AI拡散に関する暫定最終規則」を発表した。18の主要同盟国に対する先端半導体の販売制限を撤廃する一方、懸念国への閉鎖型モデルの重み(ウェイト)移転を制限した。世界のAI基盤を米国基準に囲い込みつつ、安全保障上のリスクを抑える狙いがある。

米政府、AI拡散に関する新規則を発表 同盟国向け規制を撤廃し先端モデル保護へ
画像:bidenwhitehouse.archives.gov

過去2年間、米国のAI半導体規制は、最先端の演算能力を国内に囲い込むための分厚い壁のように機能してきました。しかし、囲い込みが厳しすぎれば、海外の巨大な需要を競合に明け渡すリスクが生まれます。

ホワイトハウスは2025年1月13日、「人工知能普及に関する暫定最終規則」に関するファクトシートを発表しました。バイデン政権が掲げた狙いは明白です。「世界のAIを米国のレールの上で走らせる」という方針への大転換です。

信頼度に応じた演算能力の割り当て

今回の新規則は、相手国の信頼度や安全基準に応じて、出荷枠を段階的に割り振る緻密な仕組みを導入しました。

日本を含む18の主要な同盟国やパートナーに対しては、先端半導体の販売制限が一切適用されません。大規模な調達が滞りなく可能になります。

小規模な研究機関や大学向けのハードルも大幅に下がりました。合計で先端GPU約1,700基相当以下の注文については、個別ライセンスの取得が不要になり、各国の購入枠の計算からも除外されます。

中東など非同盟地域に対しては、新しい認証制度が設けられました。懸念国以外の拠点で安全基準を満たした企業は「国家検証済み最終消費者」の資格を得ることで、今後2年間に最大32万基相当の先端GPUを購入できます。

認証を持たない一般企業は国ごとに5万基の上限が設けられますが、エネルギーや輸出管理で米国と協定を結んだ国は、この枠が2倍の10万基に拡大されます。

モデル重みの保護とオープンソースの除外

同盟国への供給ルートを整える一方で、懸念国に対する防壁はさらに高度化しています。

先端半導体を先端AIの学習に使用することを引き続き防ぎつつ、今回はじめて閉鎖型モデルの重みデータに対する移転制限が明文化されました。不正アクセスを防ぐための厳格な安全基準が課されます。

一方で、ホワイトハウスはオープンソースモデルの公開については一切制限しない方針を明言しています。

なぜ重要か

米国政府は、AI規制を「単なる輸出制限」から「国際的な規格争いの道具」へと進化させました。

大学やスタートアップにとって、1,700基以下のライセンス免除は非常に実用的な緩和です。日常的な推論や小規模な追加学習であれば、面倒な申請プロセスを経ずに米国のエコシステムを使い続けることができます。

業界全体から見れば、エヌビディアなどの米半導体大手にとっては、同盟国や新興市場での販路を法的に保護してもらった形になります。算力の上限緩和をエサに、各国のクリーンエネルギー政策や安全保障基準を米国の意向に沿わせる外交カードとして機能しています。

戦略としては極めて巧みですが、懸念も残ります。5万基や32万基といった人為的な割り当て基準は政治判断に左右されやすく、米国主導のサプライチェーンに対する不確実性を嫌う国々が、独自の半導体開発を加速させる引き金になる可能性も十分にあります。

情報源 (2)

  1. [1]
    whitehouse.gov(新しいタブで開きます)原文whitehouse.gov
  2. [2]

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