OpenAI、NYT訴訟で米政府や図書館協会など多数の「公正利用」支持書面を公開
OpenAIは米ニューヨーク・タイムズとの著作権訴訟において、米政府や図書館協会、法学者らから提出された支持陳述を公開した。AI学習は原著作物を代替しない公正利用(フェアユース)であり、制限すれば研究や技術革新を阻害すると訴えている。

OpenAIと米ニューヨーク・タイムズ(NYT)による注目の著作権訴訟において、OpenAIは孤立無援どころか、極めて強固な支持基盤を固めつつあるようです。
OpenAIは同訴訟において自社の立場を支持する「法廷助言書(アミカス・ブリーフ)」の要旨を公開しました。支持を表明したのは米政府をはじめ、全米盲人評議会、米図書館協会、電子フロンティア財団、雑誌『Wired』の創刊編集長ケヴィン・ケリー氏、そして著作権法を専門とする著名な法学者たちです。
パターンの学習は「複製の配布」ではない
提出された書面が口を揃えて強調しているのは、著作物を用いたAIモデルの学習は米著作権法が認める「公正利用(フェアユース)」に該当するという点です。
コンピュータ通信産業協会(CCIA)や法学者のマシュー・サグ教授らは、モデル学習の目的は著作物をそのまま消費・再配布することではなく、背後にある統計的パターンを抽出することにあると指摘しました。これは従来の利用目的を根本から変える、極めて典型的な「変形的一時利用(トランスフォーマティブ・ユース)」にあたると主張しています。
また、作家同盟(Authors Alliance)はNYT側が主張する「市場の希薄化」を厳しく批判しました。著作権法が保護しているのは表現そのものの盗用であり、同じジャンルや事実に基づいた競合作品の登場を防ぐための独占権ではないと述べています。
影響を受けるのは巨大IT企業だけではない
今回の陳述で際立っているのは、生成AI学習の制限が社会全体に及ぼす弊害を訴える声です。
全米盲人評議会や研究図書館協会の共同陳述では、視覚障害者の自立を助ける支援ツール、患者を救う医療研究、個別最適な教育現場など、多くの人々が基盤モデルから生まれたツールに依存している現状が語られました。学習を制限すれば、モデルを開発する企業だけでなく、それを利用する一般市民の生活が直接損なわれることになります。
また、コメディアンのサラ・ローズ・シスキンド氏や音楽家のマイケル・ウォール氏といった独立系クリエイターも書面を提出しました。巨大資本を持たない個人が創作を続け、事業を成立させるためにAIが不可欠な武器になっていると実体験を寄せています。
なぜ重要か
今回の動きは、OpenAIによる巧みな世論および法廷戦略だと考えられます。「巨大テック企業による報道機関のコンテンツ収奪」という対立構図を、「技術革新や公共の利益を守る戦い」へと見事に再定義してみせました。
開発者やユーザーにとっても、この訴訟の行方は他人事ではありません。もし学習行為に個別の包括的ライセンスが必要だと判断されれば、オープンソース開発は立ち行かなくなり、私たちが日常的に使うAIツールのコストも大幅に跳ね上がるはずです。
もっとも、法学者や公益団体の後押しがあるからといって、裁判の行方が確定したわけではありません。モデルが学習段階で得た知識と、出力時に元の表現をそのまま吐き出してしまう現象との線引きをどう司法に示すのか、OpenAIには依然として重い立証責任が残されています。
情報源 (1)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com