Getty ImagesがStability AIを提訴:1200万枚超の画像を無断学習と主張
Getty Imagesが米デラウェア州連邦地裁でStability AIを提訴した。画像生成AI「Stable Diffusion」の学習に1200万枚以上の著作権画像を無断使用したと主張している。該当モデルの破棄や損害賠偿を求めており、AI学習の正当性を巡る重要判例になりそうだ。

生成AIブームの根底を揺るがす法廷闘争が、いよいよ本格化しました。
写真・映像大手のGetty Imagesは、画像生成AI「Stable Diffusion」を手がけるStability AIを相手取り、米デラウェア州連邦地裁に提訴しました。訴状は2月3日付で提出され、2月6日に米ブルームバーグ・ローなどが報じました。Gettyは先月にも英国で同様の知財訴訟を起こしており、今回は米国本国での直接対決となります。
訴状の内容は極めて具体的かつ強烈です。Gettyは、Stability AIが自社の著作権保護下にある1200万枚以上の写真と、それに付随する詳細なテキストやメタデータを無許諾・無報酬でスクレイピングし、モデルの学習に利用したと主張しています。
出力画像に焼き付いた「透かしロゴ」
Getty側は、自社コンテンツの大規模な侵害こそがStability AIの成功に不可欠な役割を果たしたと指摘します。
高精度なキャプションと画像のペアデータがあったからこそ、Stable Diffusionは高い生成能力を獲得できたという主張です。さらに、モデルが生成する画像の中には、Gettyのオリジナル作品と酷似した派生物が含まれているだけでなく、Gettyの代名詞とも言えるウォーターマーク(透かしロゴ)が不鮮明な形でそのまま出力されるケースが多発していると訴えています。
こうした出力は著作権侵害にとどまらず、商標権の侵害や商標の希釈化(ダイリューション)にあたるとGettyは主張。自社のブランド価値を著しく毀損していると非難しています。
また、Getty自身がすでにAI・機械学習向けの正規データライセンス事業を展開している点も強調しました。無断利用は正規のビジネス機会を奪い、写真家などのコンテンツ提供者が正当な対価を受け取る権利を侵害していると訴えています。
要求している救済措置も前代未聞の厳しさです。法定損害賠償や3倍賠償、弁護士費用の請求に加え、Gettyの画像で学習されたすべてのStable Diffusionバージョンの破棄を求める恒久的な差し止め命令を要求しています。
なぜ重要か
今回の訴訟は、生成AIの学習データがフェアユース(公正利用)の範囲に収まるのかという最大の問題に、決定的な判断を下す試金石になります。
Getty側の戦術は非常に巧妙です。AIが内部でどう学習しているかを陪審員に説明するのは困難ですが、「生成画像に歪んだGettyの透かしが入っている」という証拠は誰が見ても一目でコピーの事実を確信させます。商標権侵害を前面に押し出したことで、技術的な言い逃れが極めて難しくなっています。
仮に裁判所が「該当モデルの破棄」を命じた場合、オープンソースAIエコシステムに及ぶ影響は計り知れません。すでに世界中に配布された重みデータを物理的に回収することは不可能なうえ、1200万枚もの高品質データを抜いて一から再学習するとなれば、莫大なコストと性能劣化が避けられないからです。
ネット上のデータを自由に学習に使えたフリーランチの時代は、完全に終わりを告げようとしています。今後は適切なライセンス契約を結べる体力のある企業だけがフロンティアモデルを開発できる、極めて厳しい選別の時代に入ると考えられます。
情報源 (1)
- news.bloomberglaw.com(新しいタブで開きます)原文news.bloomberglaw.com
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