本文へスキップ
IFAI

業界動向

水1万8000杯の悪戯注文を経て:米ファストフード大手がドライブスルーAIを再構築

公開 拡散指数 38

報道によると、タコベルやマクドナルドがドライブスルーAIの導入戦略を再検討している。アイスにベーコンを追加する誤作動や1万8000杯の水を注文される悪戯を受け、マクドナルドはGoogle Cloudの音声AIへ移行し、タコベルは混雑時の有人対応を検討中だ。

水1万8000杯の悪戯注文を経て:米ファストフード大手がドライブスルーAIを再構築
画像:zdnet.com

ドライブスルーのマイクに向かってソフトクリームを頼んだら、AIに勝手にベーコンをトッピングされたり、面白半分で「水を1万8000杯」と注文されたりしたらどう対応すべきでしょうか。

これは笑い話ではなく、McDonald'sやTaco Bellなどのファストフード大手がドライブスルーで生成AIを試験導入した際に実際に起きたトラブルです。顧客からの遅延や誤認識への不満が相次ぎ、両社は一度戦略の見直しを迫られました。

しかし、外食チェーンはAIの導入を諦めたわけではありません。アプローチを変えて再挑戦を始めています。

IBMとの提携終了、Googleの生成AIへシフト

米業界誌Restaurant Businessなどによると、McDonald'sはIBMと2年間にわたって進めていた自動注文システムのテストを昨年終了しました。勝手に商品を注文に追加したり、アイスクリームにベーコンを勧めたりする誤作動が原因でした。

その後、同社はGoogle Cloudと手を組み、Googleの生成AIモデルでトレーニングされた音声認識技術をドライブスルーに導入する方針へと舵を切りました。Wendy'sも同様の取り組みを進めています。

音声AI全体の進化も追い風になっています。今月初めにはOpenAIが音声対話モデル「gpt-realtime」のAPIを公開し、音声が次の主要なインターフェースになるとアピールしました。

ピーク時はAIをオフにし、人間が監視する

McDonald'sの失敗を教訓に、Taco Bellはより現実的な運用を模索しています。

Wall Street Journalによると、Taco Bellは店内が混雑するピーク時間帯にはあえてAIを使わず、人間のスタッフが注文を受ける運用の導入を検討しています。混雑時の臨機応変な対応は、依然として人間のほうが優れているためです。

AIを稼働させるのは比較的落ち着いた時間帯に限定し、その間も従業員がAIの挙動を監視してミスがあれば即座にフォローする体制を整える方針です。ドライブスルー、店頭カウンター、モバイル注文の対応に追われるスタッフの負担軽減が狙いです。

なぜ重要か

今回の戦略転換で評価できるのは、「AIによる完全無人化」という幻想を潔く捨てた点です。

混雑時にはAIを止め、人間が監視役として伴走するハイブリッド運用は、現時点の音声AIの限界を理解した非常に現実的な判断だと考えられます。これにより、注文トラブルによる車列の滞留を防ぎつつ、閑散期の定型業務をAIに任せることが可能になります。

一方で、現場の負担が本当に減るのかという懸念は残ります。AIの発話を人間が常時モニタリングし、いつ起きるかわからない誤作動に備え続ける運用は、かえって従業員の精神的ストレスを増やすリスクがあります。

大手チェーンと違って潤沢な開発予算を持たない一般の飲食店にとっては、現時点でドライブスルーAIに飛びつく理由はほとんどありません。McDonald'sやGoogleが莫大なコストを払って悪ふざけ対策や騒音下の認識精度を向上させるのを、今は静かに見守るのが賢明な選択と言えます。

情報源 (1)

  1. [1]
    zdnet.com(新しいタブで開きます)原文zdnet.com

毎日のAIピックアップ