BBVAがOpenAIと提携拡大、全行員12万人にChatGPTを導入
スペイン大手銀行BBVAはOpenAIとの提携を拡大し、世界25カ国の全従業員12万人にChatGPT Enterpriseを展開すると発表した。試験導入では週平均約3時間の業務効率化を達成しており、今後は顧客がChatGPT上で直接銀行サービスを利用できる仕組みの構築も目指す。

大手企業の多くが生成AIの導入において、少人数のパイロットテストにとどまる中、金融界の巨人が一気にアクセルを踏み込みました。
スペインの大手銀行BBVAとOpenAIは、複数年にわたる戦略的AI変革プログラムで提携を拡大し、世界25カ国の全従業員12万人に「ChatGPT Enterprise」を導入すると発表しました。現在の導入規模から10倍の拡大となります。
金融サービス業界における生成AIの全社規模導入としては、世界最大級の事例です。
3,300人から12万人へ、数字で証明された効果
BBVAのこの決断は、綿密な検証の上に成り立っています。同行は2024年5月にOpenAIとの協業を開始し、まずは3,300アカウントの配布からスタートしました。
その後、対象を1万1,000人に拡大したところ、現場の従業員が日常業務のために数千ものカスタムGPTを作成しました。利用者の80%以上が毎日ChatGPTを使い、ルーチン作業を1人あたり週に約3時間削減できたといいます。
明確な成果を確認したことで、今回の12万人全社展開に至りました。単にチャット機能を提供するだけでなく、OpenAIの最新モデルへのアクセス、エンタープライズ水準のセキュリティ、そして銀行の内部システムと連携した社内エージェントを構築するツール群が含まれています。
バーチャルアシスタント「Blue」と、ChatGPT上での銀行取引
この取り組みは社内業務の効率化にとどまりません。顧客向けのサービス変革も同時に進められています。
BBVAはすでにOpenAIのモデルを活用したバーチャルアシスタント「Blue」を提供しており、利用者は自然言語でカード管理や口座の問い合わせを行えます。
今回の新契約では、BBVAの専任チームがOpenAIの製品や研究開発チームと直接連携します。さらに、顧客がChatGPTの中から直接BBVAの銀行サービスを利用できるよう、商品やサービスの統合も検討されています。
OpenAIによると、同社の法人顧客はドイツテレコムやヴァージン・アトランティック航空、アクセンチュアなどを含め、現在100万社を超えているとのことです。
なぜ重要か
私たちは、この取り組みが規制の厳しい業界における生成AI導入の理想的なロールモデルを示したと考えています。金融機関は通常、コンプライアンスや情報漏洩を懸念して新技術の全社導入に極めて慎重です。BBVAは3,300人、1万1,000人と段階的に検証を進め、「週3時間の削減」「毎日8割が利用」という具体的なROIを叩き出して社内を説得しました。
一般ユーザーの視点では、ChatGPT内で直接銀行取引ができるようになる構想が魅力的です。スマートフォンで専用アプリを起動して階層深いメニューを探さなくても、自然な会話だけで振り込みや残高確認が完結する未来が現実味を帯びてきます。
一方で懸念されるのは、金融機関に求められるゼロトレランスの壁です。社内システムと深く結びついたAIエージェントが、リスク分析や取引指示で一度でもハルシネーションや不具合を起こせば、重大な規制違反につながりかねません。安全性を担保しながらどこまで権限を委譲できるかが、今後の勝負どころになりそうです。
情報源 (1)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com