Adobe、FireflyをCC全体に一般提供開始 生成クレジット制導入と値上げも発表
AdobeはPhotoshopの「生成塗りつぶし」などFirefly搭載のAI機能をCreative Cloud全加入者に正式提供すると発表した。月ごとに付与される生成クレジット制を導入し、11月1日からは一部プランの料金を引き上げる。本格的な生成AIの利用コストがサブスク料金に反映される形となった。

生成AIをブラウザ上の実験的なツールとして試す人が多い一方で、プロのクリエイターたちはすでにPhotoshopの中で何十億もの画像を生成していました。
AdobeはCreative Cloud全体で生成AI「Adobe Firefly」の正式提供を開始しました。Photoshopの「生成塗りつぶし」や「生成拡張」、Illustratorの「生成再配色」といったベータ版機能が一斉に商用利用可能な正式機能へと移行します。Adobeによれば、ベータ期間中にFireflyを通じて生成されたアセットは全世界で60億件近くに達し、そのうち35億件以上がPhotoshop内で作成されたといいます。
これに伴い、Adobeは生成クレジット制の導入と、一部プランの価格改定を発表しました。
生成クレジット制と11月からの値上げ
生成AIの膨大な計算コストに対応するため、Adobeは月ごとの「生成クレジット」制度を導入しました。
有料プランの加入者には、毎月高速処理が可能なクレジットが付与されます。PhotoshopやIllustrator、Web版Fireflyなどでプロンプトを入力して生成するたびにクレジットが消費される仕組みです。割り当て分を使い切った後も、有料ユーザーは低速での生成を継続できるほか、11月からは100クレジットあたり月額4.99ドルで追加購入できるようになります。無料ユーザーも毎月クレジットを受け取れますが、使い切ると有料プランへの移行が必要になります。
さらに、機能拡充とAI運用コストを理由に、北米、中南米、欧州において11月1日から一部プランの値上げが実施されます。例えば個人向けの単体プランは月額2ドルの引き上げとなります。なお、教育機関向けプラン、フォトプラン、モバイル向けアプリ、Acrobat単体などは今回の価格改定の対象外です。
動画制作向けにも更新が入っており、Premiere Proではタイムラインが最大5倍高速化されたほか、不要な言い淀みを自動検出するテキストベース編集や、ワンクリックで音声をクリアにする機能が加わりました。After Effectsのベータ版には新たな3Dワークスペースが追加されています。
なぜ重要か
私たちは、この動きが生成AIを「目新しいギミック」から「業界の標準生産ライン」へと定着させる決定打になると考えています。
日々の納期に追われるプロにとって、今回のアップデートは値上げ分を補って余りある価値があります。素材探しや面倒なレタッチ、背景拡張がアプリ内で数秒で完了し、さらにFireflyで生成された成果物は著作権上の懸念が低く商業利用可能と明言されています。法的なリスクを恐れてMidjourneyなどの導入を躊躇していた企業にとっては、最も導入しやすい選択肢です。
使い慣れた既存ツールの操作体系にAIを自然に溶け込ませた点は、Adobeの非常に巧みな戦略です。クレジットが切れても即座に作業が止まらず低速で動く仕組みは、締め切り直前のクリエイターに対する配慮と言えます。
一方で懸念もあります。生成するたびにクレジットという「見えないコスト」を意識させられる設計は、クリエイターの自由な試行錯誤を萎縮させる恐れがあります。定期購読料の値上げと相まって、そこまで高度な機能を求めないライト層がCanvaなどの代替ツールへ流出する動きを後押ししてしまう可能性も否定できません。
情報源 (1)
- blog.adobe.com(新しいタブで開きます)原文blog.adobe.com