Adobe Illustratorの生成ベクター機能を実測:絵が描けなくてもパス素材を量産
ZDNetがAdobe Illustratorの生成AI機能のハンズオンを公開した。テキスト指示からベクター素材を生成する機能や、既存の枠線に沿った形状塗りつぶし、連続パターンの自動作成が可能。解像度を損なわずに拡縮やパーツ分解ができる一方、パスの結合の甘さや著作権の所在には課題も残る。

ペンツールやベジェ曲線に挫折した経験がある人にとって、Adobe Illustrator の新機能は待望の進化かもしれません。
従来の画像生成 AI が出力するのはピクセルで構成されたラスター画像でした。拡大すると粗くなり、特定のオブジェクトだけを動かすには切り抜き作業が必要でした。
今回の Illustrator は生成 AI をベクターの世界に持ち込みました。プロンプトを入力すると、拡大縮小しても劣化せず、グループ解除してパーツごとに編集できる本物のベクターデータが生成されます。
手描きスケッチの自動認識と無限パターン生成
ZDNET の実機レビューによると、特に優れているのは図形認識を活用した「生成塗りつぶし」です。
ロゴのアウトラインを描いて選択し「ロボットの街」と指示すると、文字の輪郭に沿って精密な街並みが描かれます。形状の一致度やディテールの細かさをスライダーで調整でき、アイソメトリック風などのプリセットも選べます。
プロンプトを一切入れずにマウスで描いた拙い雪だるまの輪郭だけでも、AI が雪だるまだと認識し、本格的な冬景色へと仕上げてくれます。
さらに実用的なのがベクターパターンの自動生成です。「1950年代のコミック風ロボット」と入力するだけで、継ぎ目のないリピートパターンが完成します。
生成再配色ツールを組み合わせれば、ワンクリックで色調をガラリと変え、そのままスウォッチに登録してファブリックや壁紙のプリント用データとして使えます。
パスの論理破綻と融通の利かない検閲
一方で、実務で使うには粗さも目立ちます。
リンゴの木の下に座る鹿を生成したテストでは、解像度を気にせず拡大できるものの、ベクターの構造に問題がありました。
鹿の胸の輪郭線が独立しておらず、背後の草地を外すと輪郭が消えてしまいました。さらに、鹿の耳と木の枝がひとつのオブジェクトに結合されてしまっており、思い通りのパーツ分離ができない場面もありました。経験者ならペンツールで修正できますが、初心者には少々厄介です。
また、Adobe は商用利用を考慮して自社のストック画像などで学習させているため、セーフティフィルターが過剰に反応することがあります。
人気犬種である「Yorkie poo puppy」を入力したところ、単語に含まれる文字列に反応したのか生成を拒否され、犬種名を変更せざるを得ませんでした。
なぜ重要か
今回のアップデートは、プロの現場を熟知した Adobe らしい賢い一手だと考えられます。
世の中の画像生成 AI がピクセルの美しさを競う中、Illustrator は拡大に耐え、そのまま印刷やレーザー加工機に流せるベクター形式に落とし込みました。布地デザインやアイコン作成、グッズ製作を行う人にとって、多少パスの修正が必要だとしても今すぐ試す価値は十分にあります。
ただし、著作権を巡るリスクには注意が必要です。
生地プリントサービスなどでは投稿者がデザインの著作権を保持していることが利用規約で求められます。しかし米国著作権局の現行指針では、人間が創作に関与していない純粋な AI 生成物に著作権は認められません。短いプロンプトだけで生成したパターンを自分の著作物として商用販売できるのか、法的なグレーゾーンが残ります。
競合ツールにとっては、単に綺麗な絵を出すだけでなく、後から手修正できる編集可能なファイル形式で出力できるかどうかが、プロ向けツールとしての新たな競争軸になりそうです。
情報源 (1)
- zdnet.com(新しいタブで開きます)原文zdnet.com
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