悪質なディープフェイク動画が拡散:スカーレット・ヨハンソン氏がAI規制法を要請
自身の姿を悪用したAI生成のディープフェイク動画が拡散したことを受け、俳優のスカーレット・ヨハンソン氏が米政府に対しAI規制法の制定を強く訴えた。彼女はAIによって増幅されるヘイトスピーチの危険性を警告し、悪用を防ぐ法整備を最優先事項にすべきだと主張している。

スカーレット・ヨハンソンが再びディープフェイクの被害に遭い、米政府に対して早急な法規制を強く求めました。
かつてChatGPTの音声模倣問題でOpenAIに抗議した彼女ですが、今回の標的はさらに悪質です。ヘイトスピーチを助長する偽動画に自身の姿を無断利用されたことを受け、米政府がAIの危険性に対して立法を怠り、麻痺状態に陥っていると非難の声を上げました。
著名人を巻き込んだフェイク動画の拡散
問題となっている動画は、ヨハンソンをはじめとするユダヤ系の著名人が、カニエ・ウェストを連想させるシャツを着せられているという内容です。動画内にはジェリー・サインフェルド、ミラ・クニス、ジャック・ブラック、ドレイク、ジェイク・ギレンホール、アダム・サンドラーらも登場します。
シャツには中指を立てたマークとダビデの星が描かれていました。これは先週、Xに復帰して反ユダヤ主義的な発言を投稿し、カギ十字入りのシャツを一時販売したYe(カニエ・ウェスト)をめぐる騒動に便乗して生成されたものです。
ヨハンソンは雑誌Peopleに対する声明で、自身がユダヤ人女性としてヘイトスピーチを断じて容認しないとした上で、AIによって増幅されるヘイトスピーチの脅威は特定の個人によるものよりもはるかに深刻だと訴えました。
後退し続ける米国のAI規制
ヨハンソンは以前からAIの無断利用に対して毅然とした対応を取ってきました。2023年には肖像を無断使用したアプリ開発者を提訴し、昨年は自身の声に酷似した音声を公開したOpenAIに使用停止を余儀なくさせました。
しかし、個人の抗議だけでは限界があります。米議会では昨年、性的画像に関する法案が提出されたものの、その他のディープフェイクやヘイト目的の利用を規制する動きはほとんど進んでいません。
それどころか、規制の動きはむしろ後退しています。2024年9月にカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサムが包括的なAI安全法案に拒否権を行使したほか、ドナルド・トランプ大統領はバイデン政権が定めたAI安全基準に関する大統領令を撤回しました。さらに今週、米国と英国はAIの倫理的利用を推進する国際宣言への署名を拒否しています。
なぜ重要か
莫大な資金力と法務チームを持つハリウッドスターでさえ世論に頼るしかない現状は、一般人が被害に遭った場合の無防備さを浮き彫りにしています。
私たちは、AIによる名誉毀損やプロパガンダの拡散が、すでに個別の肖像権侵害という枠組みを超えていると考えます。生成ツールが日常化する一方で、政策決定者たちは競争力の維持を名目に規制緩和へ傾いており、結果として被害の抑止策が完全に後回しにされています。
性的ディープフェイクへの対処だけでなく、思想誘導やヘイト表現に他人の顔や声を悪用する行為に対し、明確な法的責任を問える仕組みが不可欠です。モデル開発企業へのトレーサビリティ義務付けやプラットフォーム側の責任追及が進まなければ、ネット上のあらゆる映像の信憑性が損なわれ続けることになります。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
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