OpenAI、調査完了でサム・アルトマン氏が取締役会に復帰
OpenAI は解任劇に関する外部調査が完了したと発表し、サム・アルトマン CEO の取締役会復帰を正式に決定した。調査では安全性や財務の問題ではなく、前取締役会との信頼関係の破綻が原因と結論付けられた。併せて新取締役 3 名を迎え、内部通報制度の導入など企業統治の強化を図る。

昨年11月に世界を騒がせたOpenAIの「お家騒動」に、ついに公式な決着がつきました。
外部の法律事務所WilmerHaleによる調査が完了し、サム・アルトマン氏の解任劇は製品の安全性や開発ペース、財務面の問題ではなく、前取締役会とアルトマン氏の間の「信頼関係の破綻」が原因だったと結論づけられました。
報告書は、前取締役会の対応は社内の混乱を引き起こすことを予見できていなかったとし、アルトマン氏の行動は解任を義務付けるものではなかったと指摘しています。これを受け、アルトマン氏は正式に取締役会へ復帰しました。
ガバナンスの補強と通報制度の導入
調査では3万件以上の社内文書が精査され、当時の取締役や経営陣、関係者への数十回に及ぶ聴取が行われました。結果として、特別委員会と取締役会はサム・アルトマンCEOおよびグレッグ・ブロックマン氏のリーダーシップへの全面的な支持を再確認しています。
二度と同様の混乱を起こさないためのガバナンス改革も発表されました。新たな企業統治ガイドラインの採択、利益相反ポリシーの強化に加え、全従業員および業務委託者が利用できる匿名の内部通報ホットラインが新設されます。
さらに、OpenAIの基本理念の推進を担う「ミッション&戦略委員会」など、取締役会内に複数の委員会が立ち上げられます。
大物女性リーダー3名が取締役に就任
取締役会の体制も大幅に強化されます。現在暫定的に務めているブレット・テイラー氏、ラリー・サマーズ氏、アダム・ディアンジェロ氏に加え、新たに3名の女性リーダーが取締役に選任されました。
1人目は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の元CEOで、現在はファイザーなどの取締役を務めるスー・デスモンド・ヘルマン博士です。
2人目は、ソニー・エンタテインメントの元社長兼グローバル法務責任者を務めた弁護士のニコール・セリグマン氏。過去にクリントン夫妻の代理人を務めるなど、企業のコンプライアンスや危機管理に精通しています。
3人目は、Instacartの現職CEO兼会長であり、Shopifyの取締役も務めるフィジー・シモ氏です。彼女はかつてMetaでFacebookアプリの統括責任者を務めた経歴を持ちます。
なぜ重要か
アルトマン氏の取締役復帰と経営体制の盤石化により、同社APIを利用する開発者や企業は、分裂危機などのガバナンスリスクを気にせず開発を継続できる環境が整いました。
業界全体から見れば、かつて有効利他主義(EA)などを信奉する学術的なメンバーが多数を占めていたOpenAIの特異な統治形態は、事実上終わりを告げました。新たに加わった顔ぶれは、世界的な大企業の法務、製薬・バイオ、大規模コンシューマーサービスを率いてきた百戦錬磨の実業家ばかりです。
私たちは、この人事は極めて現実的である一方、OpenAIが非営利研究機関の装いを捨て、完全な「巨大テック企業」へと脱皮した決定打だと捉えています。内部通報制度などの導入は一定の歯止めに見えますが、強力な体制を手に入れたアルトマン氏の事業推進力は、これまで以上に加速することになりそうです。
情報源 (2)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com
- openai.com(新しいタブで開きます)報道openai.com