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業界動向

OpenAI、GPT-5が未解決数学問題を解いたとする主張を撤回

公開 拡散指数 43

OpenAIの研究者らが、GPT-5が未解決のエルデシュ問題を10問解決したと主張したものの、批判を受けて投稿を削除し誤りを認めた。実際は新証明を発見したわけではなく、データベース管理者が把握していなかった既存論文を検索しただけだった。DeepMindのハサビスCEOらも軽率な発信を批判している。

OpenAI、GPT-5が未解決数学問題を解いたとする主張を撤回
画像:the-decoder.com

GPT-5 が数十年にわたり未解決だった数学の難問を解いたという情報を見かけて驚いた人がいるかもしれませんが、その話には大きな裏がありました。OpenAI の関係者が誇らしげに投稿した世紀の大発見は、わずか数時間で関係者による釈明と投稿削除に追い込まれる事態となりました。

発端は OpenAI の幹部である Kevin Weil 氏が X に投稿した内容でした。同氏は GPT-5 が未解決だったエルデシュの数学問題を 10 問解決し、さらに 11 問で進展を見せたと主張しました。他の研究者もこれに同調し、未踏の難問を AI が自律的に証明したかのようなトーンで拡散させました。

未解決の意味を取り違えた大誤解

この発表に対して、真っ先に疑問の声を上げたのが数学者たちでした。当該の問題をまとめているウェブサイト erdosproblems.com の管理者である Thomas Bloom 氏は、OpenAI 側の主張を完全な誤解であると指摘しました。

Bloom 氏によれば、同サイトに記載されている未解決というステータスは、単に管理者である自身が解答を把握していないという意味に過ぎず、数学界全体で未解決だったわけではありませんでした。GPT-5 が行ったのは新たな定理の発見ではなく、Bloom 氏が見落としていた既存の学術論文を探し出して提示しただけでした。

真相が判明すると投稿は次々と削除され、研究者らも誤りを認めました。しかし競合他社からの批判は免れませんでした。DeepMind の CEO である Demis Hassabis 氏は不注意な情報発信を極めて恥ずかしいと評し、Meta のチーフ AI サイエンティストである Yann LeCun 氏も身内の宣伝に自ら踊らされたと皮肉交じりに批判しました。

陶哲軒氏が示す現実的な価値

過剰な宣伝に隠れてしまいましたが、GPT-5 が見せた性能自体は決して無価値ではありません。用語が統一されていなかったり文献が分散していたりする過去の論文を特定する調査ツールとしては、極めて高い実用性を示しました。

著名な数学者である Terence Tao 氏は、現段階における AI の最も現実的な貢献は最難関の難問を解くことではなく、文献検索のような退屈で骨の折れる作業を大幅に短縮することにあると指摘しています。同氏は生成 AI が数学研究の効率化や産業化に寄与する可能性を認めつつも、AI の出力を精査し正しく統合するには依然として人間の専門知識が不可欠であると強調しています。

なぜ重要か

今回の騒動は、OpenAI が次世代フロンティアモデルの優位性を示さなければならないという強烈なプレッシャーに晒されている実態を浮き彫りにしたと私たちは考えます。

巨額の投資が集まる中で、自律的な科学的発見ができるというストーリーを急ぐあまり、優秀な研究者や幹部でさえ事実確認を怠り誇大な表現に走ってしまいました。優れた文献検索アシスタントという実際の成果を、架空の大突破として包装した結果、組織の信頼性を損ねる結果となっています。

研究者や現場のユーザーにとっての教訓は明快です。AI が突然未知の定理を生み出す魔法の道具だと信じ込むのは危険ですが、埋もれた論文を素早く掘り起こすリサーチツールとして今すぐ活用する価値は十分にあります。AI 開発企業に必要なのは、誇大広告ではなく冷静で透明性のある情報開示です。

情報源 (1)

  1. [1]
    the-decoder.com(新しいタブで開きます)原文the-decoder.com

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