OpenAIが超知能時代の政策提案:ロボット税導入や週休3日制補助を提唱
OpenAIは超知能時代の経済影響を見据えた政策提言を発表しました。労働から資本への課税移行、ロボット税、国民還元型の公共富裕基金、さらには週休3日制の企業補助を提案。雇用不安が高まる中、業界主導で制度改革の議論を先導する狙いがあります。
もしAIが人間の仕事を奪い、企業の利益が過去最高を更新する一方で、社会保障の財源である給与税が底をついたらどうするのか。
評価額8520億ドルに達したOpenAIが、超知能時代の到来を見据えた包括的な政策提言を発表しました。雇用喪失やデータセンター建設をめぐる社会的懸念が高まるなか、政治家や世論に向けて経済と雇用の再設計案を提示しています。
資本課税の強化と国民ファンド構想
提言の柱となっているのは、税負担の重心を労働から資本へとシフトさせる方針です。
米国の社会保障やメディケイド、食料支援などは、労働者の給料から引かれる給与税に依存しています。OpenAIは、AIの普及によって企業利益やキャピタルゲインが膨らむ一方、労働所得が縮小し、社会保障の税基盤が空洞化するリスクがあると指摘しました。
その対策として、法人税の引き上げやAIによる超過収益への課税、さらにはビル・ゲイツ氏が過去に提案したようなロボット税の導入を挙げています。代替された人間と同等の税負担を課すという考え方です。
また、株式投資をしていない一般市民にもAIの恩恵を分配するため、公共ウェルス・ファンドの創設を提案しました。AI企業やインフラの持分を国民全体で共有し、配当を直接還元する仕組みです。
労働環境については、給与水準を維持したままの週休3日制への移行支援や、職を変わっても引き継げるポータブル福利厚生口座を提示しました。同時に、AIインフラを電力などの公益事業と位置づけ、データセンター拡充に向けた送電網の整備や税制優遇を政府に求めています。
なぜ重要か
今回の提言は、規制の波を先回りしようとするOpenAIの極めて戦略的な政治的布石だと考えられます。
トランプ政権が国家的なAI枠組みの策定を進め、中間選挙が迫るなかでの発表には明確な意図が見えます。OpenAI幹部が規制緩和を求める政治団体に巨額の寄付を行う一方で、国民ファンドや資本課税といったリベラル寄りの分配策を打ち出すことで、超党派的な立ち位置を演出しているためです。
一般の働き手にとって週休3日制や分配金は魅力的に映りますが、制度設計には大きな穴があります。医療費補助や年金の拡充を企業負担に依存させているため、AIによって完全に職場を追われた層には手が届かない構造になっている点です。
業界全体から見れば、6か月前のAnthropicの政策青写真に続く動きであり、巨頭間の競争がモデル開発から国家制度の誘導へと移ったことを物語っています。将来の増税を受け入れる姿勢を見せつつ、目下最も切実な電力と計算資源の公的支援を取り付けるという、計算高い取引に見えます。
情報源 (2)
- wsj.com(新しいタブで開きます)原文wsj.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com