OpenAIが独自の規制青写真を発表、インフラ投資と統一基準を提言
OpenAIは米政府に向けた「経済青写真」を公表した。州ごとに乱立する規制を避け、連邦主導の自発的な安全基準やエネルギー・データセンターへの大規模投資を要請。著作権のある公開データをAI学習に利用可能とすることも求めている。

OpenAIが、自社にとって最も都合の良い規制環境をまとめた政策提言を米政府に突きつけました。
同社は月曜日、AIに関する「経済ブループリント(青写真)」を公表しました。グローバルアフェアーズ担当副社長のクリス・レヘイン氏が序文を寄せたこの文書は、米国がAI競争を主導し続けるために必要なインフラ投資や政策の方向性を提言しています。要するに、巨額の送電網投資を国が行い、規制は州ごとではなく連邦で一本化し、安全性評価は義務ではなく任意に留めるべきだという主張です。
州ごとの独自規制を批判、送電網と原子力への投資を要求
OpenAIが真っ先に問題視したのは、全米で乱立する州法です。
2024年だけで各州の議員から約700本ものAI関連法案が提出されており、内容の食い違いが深刻化しています。テキサス州の法案はオープンソース開発者に過度な責任を課しているとし、OpenAI自身も以前、カリフォルニア州の「SB 1047」法案に対してイノベーションを阻害するとして反対の声を上げていました。
サム・アルトマンCEOはBloombergのインタビューで、既存のCHIPS法は期待されたほどの効果を上げていないと指摘しました。米国で発電所やデータセンターを建設することが官僚主義のせいで極めて難しくなっているとし、この点ではトランプ氏の主張に深く同意すると述べています。
ブループリントでは、データセンターの稼働に不可欠な電力とデータ送電網に対する連邦支出の大幅な拡大を要求しています。太陽光や風力に加え、次世代サーバー群を支えるための原子力発電プロジェクトへの本格的なテコ入れを求めています。
安全基準は「任意」を主張、著作権データの学習利用も正当化
モデルの安全性や規制に関して、OpenAIは強制力のあるルールの導入を避けるよう牽制しています。
提案されたのは、開発企業が政府と協力してリスク評価や情報交換を行う「明確で自発的な枠組み」です。国家安全保障機関との連携を簡素化する一方で、同盟国には米国製AIのエコシステムを広げるための輸出を認め、敵対国への輸出は厳格に制限するよう求めました。
著作権の扱いについても踏み込んでいます。クリエイターからの訴訟が相次ぐ中、OpenAIはAIが人間と同じように公開情報から学習する権利を認めるべきだと主張しました。
米国が規制で著作権素材の学習を縛れば、海外の他国がそのデータを使ってAIを開発し、結果として他国経済を利するだけだという論理を展開しています。
こうした政策誘導を強めるため、OpenAIのロビー活動費は急増しています。昨年上半期だけで80万ドルを費やし、2023年通年の26万ドルから3倍以上に膨らみました。元NSA長官のポール・ナカソネ氏や前商務省チーフエコノミストのアーロン・チャタジー氏ら政府高官経験者の採用も加速させています。
なぜ重要か
このブループリントは、新政権発足を前にOpenAIが主導権を握ろうとする明確な意思表示です。
開発者や関連企業にとっては、州ごとに異なる煩雑な規制が連邦レベルで統一されれば、開発の予測可能性が高まるというメリットがあります。しかし、安全基準を「自発的」なものに留める提案は、モデルを開発する巨大企業への実質的なフリーパスになりかねません。
私たちは、OpenAIが自社の莫大なインフラ需要と著作権リスクを「国家安全保障」の文脈に巧みにすり替えている点に危うさを感じます。データセンターのための電力網整備という巨額の負担を公的資金に求めつつ、規制の網からは逃れようとする姿勢は、同業他社やクリエイターとの摩擦をさらに深めるはずです。この提言がどの程度法制化に反映されるかが、今後の米国のAI覇権競争の枠組みを決定づけることになります。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com