OpenAIの未公開AIが科学的快挙、ETH仮説を反駁しミレニアム懸賞問題にも前進
OpenAIは未公開モデルが数学、計算複雑性理論、物理学の3分野で重要発見を達成したと発表した。数十年間信じられてきた指数時間仮説(ETH)の反駁や、ヤン・ミルズ理論の存在証明などが含まれる。成果はLeanで形式検証され、ノーベル賞受賞者を含む外部の研究者グループ主導で公開検証が進められる。

数週間前に700本以上の数学論文を一挙公開した際、多くの研究者はAIによる単なる論文の量産ではないかと冷ややかに見ていました。しかし10月26日、OpenAIは現代科学の土台そのものを揺るがす3つの新発見を発表しました。
同社の未公開モデルが、数学、計算複雑性理論、理論物理学の各分野で長年の難問を解決したと主張しています。重要なのは、主要な証明があらかじめ数学証明支援システム「Lean」によって形式検証されている点です。
計算機科学の常識を覆すETH仮説の反駁
最大の衝撃を与えているのが計算機科学分野です。OpenAIは、数十年にわたり信じられてきた「指数時間仮説(ETH)」が誤りであることを自社のAIが証明したと発表しました。
命題論理式の充足可能性(SAT)問題において、変数の増加に伴う計算量の爆発は避けられないと考えられてきました。膨大な研究がこのETHを前提に計算限界を論じています。
AIが発見した新アルゴリズムは、代数的な変換と情報の圧縮を用いて、部分指数時間での計算を可能にしました。つまりETHは反証されたことになります。
OpenAIはこの検証にあたり、1999年にETHを共同提唱したラッセル・インパリアッツォ氏やラマモハン・パトゥリ氏らを招聘しました。自然言語による証明とLeanのコードはすでにGitHubで一般公開されています。
波動の難問とミレニアム懸賞問題への肉薄
数学分野では、35年間未解決だった「局所平滑化予想」がAIによって全次元で証明されました。補助的な偏微分方程式を導入したこのアプローチにより、名高い掛谷予想なども全次元で自動的に解決されたとされています。
理論物理学では、素粒子物理学の標準模型を支える量子色力学(QCD)や純粋ヤン・ミルズ理論を含む、4次元量子場論の数学的厳密な存在証明を提示しました。
これは100万ドルの懸賞金がかけられた「ミレニアム懸賞問題」の存在証明部分にあたります。ただしOpenAIは、もう一方の難問である「質量ギャップ」は未解決であると明記しています。この物理分野の検証は、2004年ノーベル物理学賞受賞者のデイヴィッド・グロス氏が率いるグループが担当しています。
なぜ重要か
私たちの見解として、AIは文献の要約やプログラミング補助の域を完全に脱し、第一線の科学的発見を担うツールへと足を踏み入れました。長年信じられてきた仮説を反駁する能力は、既存データの確率的模倣だけでは説明がつきません。
推論の検証にLeanを採用した点は極めて賢明でした。AIの最大の弱点であるハルシネーション(幻覚)を機械的検証によって排除できるため、学術界が検証に費やす心理的ハードルを大きく下げています。
一方で、特定の外部専門家に先行アクセス権を与えて結果を委ねる「羊飼い(シェパード)方式」には疑問の声も上がっています。諮問組織AGMAIが指摘するように、情報の非対称性や特定の権威への依存を生む懸念があり、最初からオープンリポジトリで全員に公開すべきだという批判はもっともです。
もしETHの反証が最終的に認められれば、計算複雑性理論の教科書は書き直されることになります。基礎科学の進展スピードそのものが、AIの登場によって劇的に加速し始めています。
情報源 (3)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com
- youtube.com(新しいタブで開きます)報道youtube.com
- theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com