OpenAI、「GPT-5.6 Sol Ultra」で50年来の未解決数学問題を自律証明
OpenAIは新モデル「GPT-5.6 Sol Ultra」がグラフ理論の未解決問題「サイクル二重被覆予想」を完全に証明した論文を公開した。64個のサブエージェントを立ち上げ、推導から論文執筆までを1時間足らずで完了。AIが未踏の数学的難問を自律的に解決できる段階に入ったことを示している。

数学者たちが半世紀にわたって解けなかった難問が、リリースされたばかりのAIによって1時間足らずで証明されました。
OpenAIは7月10日、グラフ理論における長年の未解決問題「サイクル二重被覆予想」を完全に証明したとする論文を公開しました。執筆者欄に並ぶのは人間の研究者ではなく、AI利用の明記欄には「本証明はGPT-5.6 Sol Ultraによるものであり、Codexが執筆を担当した」と記されています。
人間はほぼ、出力された結果を確認しただけです。
64個のエージェントが1時間で解き明かした構造
サイクル二重被覆予想は、約50年前にタットやシーモアらによって提示された有名な問題です。簡単に言えば、「橋」(取り除くとグラフが分断される辺)を持たない任意の無向グラフにおいて、すべての辺がちょうど2回ずつ含まれるようなサイクルの集まりが存在するという命題です。
これまで特定のグラフに対する部分的な証明はあったものの、一般的な完全証明には誰も到達していませんでした。
今回、GPT-5.6 Sol Ultraは内部で64個のサブエージェントを立ち上げ、並列探索を実施。問題の定式化から証明の導出までを1時間足らずで完了させました。
論文の手法は非常に明快です。問題を標準的な3正則グラフに帰着させたうえで、既存の8-流定理を応用し、組み合わせ論的な制約を有限体上の初等的な線形代数方程式系に落とし込んで解を導いています。過去の知見を巧みに組み合わせて別のアプローチへと変換する能力の高さが際立ちます。
なぜ重要か
これは、AIが「知識の検索」から「新たな科学的真理の創出」へ足を踏み入れた決定的な証拠だと考えられます。
これまでのフロンティアモデルによる数学の成果は、主に競技数学の解法再現や既存証明の形式化検証にとどまっていました。しかし今回の未解決問題の解決は、学習データに正解が存在しない領域において、AIが自律的に正しい推論経路を組み立てられることを示しています。
研究者や開発者にとって、複数のサブエージェントを協調させて探索空間を潰していく手法は、今後のアルゴリズム開発や学術研究における強力な武器になるはずです。人間が何十年も悩んでいた仮説検証が、わずか数十分のコンピュート資源で終わる世界が現実味を帯びてきました。
もちろん、専門家による厳密なピアレビューを経るまでは慎重さも必要です。極限まで簡略化された証明に論理の飛躍がないか、数学コミュニティによる精査が待たれます。それでも、AIが純粋数学のフロンティアを独力で切り拓いたインパクトは計り知れません。
情報源 (1)
- cdn.openai.com(新しいタブで開きます)原文cdn.openai.com