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業界動向

OpenAI、独自AIチップ開発を検討か Nvidia依存脱却とコスト削減へ

公開 拡散指数 51

ロイター報道によると、OpenAIは深刻化するGPU不足に対応するため、独自AIチップの製造や関連企業の買収を検討している。サム・アルトマンCEOはチップ確保を最優先事項に掲げる。巨額の運用コスト抑制を狙うが、半導体開発には数年単位の時間と莫大な投資が伴う。

OpenAIを率いるサム・アルトマン氏にとって、最大のボトルネックは資金ではなくコンピュートリソースのようです。

ロイターの報道によると、OpenAIは独自のAI半導体の内製化を検討しています。社内での半導体戦略の議論は少なくとも前年から始まっており、アルトマン氏はAIチップの確保を同社の最優先事項に位置付けていると伝えられています。同社は開発を前進させるため、既存の半導体メーカーの買収や、社内での独自チップ設計チームの立ち上げなど、複数の選択肢を検討している模様です。

枯渇するGPUと莫大な運用コスト

OpenAIがこの決断を迫られている背景には、深刻な供給不足があります。

現在、ChatGPTやGPT-4、DALL-E 3の開発と運用は、NvidiaをはじめとするGPUクラスターに全面的に依存しています。しかし生成AIブームによってサプライチェーンは極限まで逼迫し、Nvidiaの高性能AIチップは2024年分まで完売したと報じられています。

最大のパートナーであるマイクロソフトでさえ、夏の決算報告でAI向けサーバー機器の不足がサービス停止につながる恐れがあると警告を発したほどです。

さらにコスト面も尋常ではありません。

バーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏の試算によると、ChatGPTのクエリ規模がGoogle検索の10分の1に達した場合、初期投資だけで約481億ドル相当のGPUが必要となり、運用を維持するためだけに年間約160億ドル相当のチップを買い続ける必要があります。

先行事例が示すハードウェア開発の険しい道

巨大テック企業によるチップ内製化自体は珍しいことではありません。

GoogleはPaLM-2などの訓練にTPUを活用しており、AmazonはAWS向けにTrainiumやInferentiaを提供しています。マイクロソフトもAMDと提携してコードネーム「Athena」と呼ばれる内製AIチップを開発中とされ、OpenAIもそのテストに参加していると言われています。

OpenAIはこれまで110億ドル以上を調達し、年間売上高は10億ドルに迫っており、評価額900億ドル規模での株式売却も報じられるなど資金力は潤沢です。

しかし、ハードウェア開発は決して甘い世界ではありません。

英国のAI半導体新興Graphcoreはマイクロソフトとの取引破談後に評価額が10億ドル削られ、人員削減と赤字拡大に直面しています。インテル傘下のHabana Labsも人員の約10%を削減し、Metaも内製チップ開発の難航から一部の実験的ハードウェアの廃止を余儀なくされました。

OpenAIが本格的に参入したとしても、実用化には数年と年間数億ドルの費用がかかる見込みで、マイクロソフトら投資家がこの巨額のリスクをどこまで容認するかは不透明です。

なぜ重要か

一般ユーザーやAPIを利用する開発者にとって、この動きはAIサービスの安定性とコストに直結します。ハードウェアの不足はAPIの利用制限やサーバーダウン、高止まりする料金の主因だからです。ただしチップ開発には数年単位の時間がかかるため、今すぐAPIコストが下がるような即効性は期待できません。

業界全体で見れば、Nvidiaによる市場独占に対する最大の牽制球となります。トップクラスのAI開発企業がチップ開発に乗り出すことは、現在のGPU独占と価格高騰がいかに限界に達しているかを証明しています。今後、大手各社がアルゴリズムだけでなくシリコン層まで垂直統合を進める流れは加速せざるを得ません。

OpenAIのこの動きは、現時点では極めて計算された戦略だと私たちは考えます。実際にチップを量産できなくても、内製化の計画を進めているという事実だけで、Nvidiaに対する価格交渉力やマイクロソフトからのインフラ優遇を引き出す強力な武器になるからです。一方で、ハードウェア開発は失敗の歴史に事欠かない過酷な領域です。ソフトウェア企業であるOpenAIが巨額の資本と人員をチップ開発に奪われ、本業であるフロンティアモデルの競争で開発スピードを落とすリスクは決して小さくありません。

情報源 (2)

  1. [1]
    reuters.com(新しいタブで開きます)原文reuters.com
  2. [2]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com

トピックを追うOpenAIによる独自AIチップ開発計画

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