OpenAIが独自のAI半導体開発を検討か、買収も視野に
ロイター報道によると、OpenAIがAI専用半導体の内製化や半導体メーカー買収を検討している。モデルの運用コスト高騰とGPU供給不足が深刻化する中、サム・アルトマンCEOは半導体確保を最優先事項に掲げる。実現には数年と巨額の投資が必要になる見込み。
利用者が増えるたびに天文学的な計算コストが跳ね上がる状況に直面すれば、自前でチップを作りたくなるのも無理はありません。
ロイター通信の報道によると、OpenAIが独自のAIチップ開発を検討していることが明らかになりました。社内での半導体戦略の議論は少なくとも昨年から続いており、サム・アルトマンCEOもAIチップの確保を最優先事項に掲げています。手段としては、社内での独自チップ設計だけでなく、既存の半導体メーカーの買収も選択肢に入っているとされています。
枯渇するGPUと天文学的なコスト
現在、OpenAIはChatGPTやGPT-4、DALL-E 3の開発と運用をクラウド上のGPUクラスターに全面的に依存しています。並列計算に長けたGPUは現在のAIモデルに不可欠ですが、爆発的なブームによって調達環境は逼迫しています。
エヌビディアの最高性能チップは2024年まで在庫切れと報じられており、筆頭パートナーであるマイクロソフトですら、サーバー用ハードウェア不足がサービス障害を招く恐れがあると決算で警告するほどです。
さらに深刻なのが運用コストです。バーンスタインのアナリストであるステイシー・ラスゴン氏の試算によると、ChatGPTの利用規模がGoogle検索の10分の1に達した場合、初期投資として約481億ドル分のGPUが必要になり、維持運用だけでも年間約160億ドルのチップ追加が必要になるとされています。
OpenAIはこれまでに110億ドル以上の資金を調達し、年間売上高は10億ドルに迫っており、評価額900億ドルでの株式売却も報じられています。それでも、このレベルの計算機コストを既存の市販品だけで賄い続けるのは現実的ではありません。
先行する巨大テックと、ハードウェア開発の罠
自社製チップの開発自体は、GoogleのTPUやAmazon AWSのTrainium、Inferentiaなど、メガクラウド各社がすでに取り組んでいます。マイクロソフトもAMDと提携して「Athena」と呼ばれる独自AIチップを開発中とされ、OpenAIもそのテストを行っていると報じられています。
しかし、ハードウェア開発は極めてリスクが高い領域です。
かつて期待された英Graphcoreはマイクロソフトとの取引破談などを経て評価額を10億ドル切り下げられ、人員削減と赤字拡大に直面しています。インテル傘下のHabana Labsも人員の約10%を削減し、MetaもカスタムAIチップの設計難航から一部の開発プロジェクトを破棄せざるを得なくなりました。
仮にOpenAIが独自半導体の開発に踏み切った場合、実用化までには数年の歳月と毎年数億ドルの開発費がかかります。マイクロソフトを含む投資家陣が、この巨大なリスクを受け入れるかどうかは不透明です。
なぜ重要か
一般のユーザーや開発者にとって、この動きによって明日すぐにChatGPTの利用料が安くなったり、APIの制限が緩和されたりするわけではありません。半導体の設計から量産、データセンターへの配備には年単位の時間がかかるため、短期的には依然としてエヌビディア製ハードウェアの供給枠に縛られた利用環境が続きます。
私たちは、今回の動きをエヌビディア依存を打破するための長期的な防衛策であると見ています。単一サプライヤーにインフラの命運を握られたままでは、価格交渉力を持てず、自社の成長スピードも相手の供給能力に制限されてしまいます。たとえ小規模な内製化や構想段階にとどまったとしても、チップ開発の意思を示すこと自体が、エヌビディアとの調達交渉やマイクロソフトの「Athena」割り当てにおいて有利なカードになります。
懸念されるのは、リソースの分散です。OpenAIの強みは世界最高峰のソフトウェア研究者とモデル開発力にあります。製造と物理層のトラブルシューティングを伴うハードウェア事業は全く異なる戦いであり、Metaのような巨大企業ですら手痛い失敗を経験しています。巨額の資本と貴重なマネジメントの注意を半導体開発に奪われるリスクは決して小さくありません。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
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