OpenAI、アジアでデータ保管場所指定に対応:日本など4カ国
OpenAIはChatGPT Enterprise、Edu、およびAPIプラットフォーム向けに、日本、インド、シンガポール、韓国でのデータレジデンシーの提供を発表した。対話ログや添付ファイルなどの保存先を国内に制限でき、厳格なデータ主権やコンプライアンス要件に対応する。

大企業や教育機関が生成AIを導入しようとするとき、最大の壁になるのが法務やセキュリティの審査です。データが海外に送られて保管されるリスクを前に、導入を見送ってきた組織も少なくありません。
こうした課題に対し、OpenAIはアジア4カ国でデータレジデンシー(データの国内保管)の提供を開始しました。対象となるのは日本、インド、シンガポール、韓国です。
対象サービスは企業向けのChatGPT Enterprise、大学や研究機関向けのChatGPT Edu、そして開発者向けのAPIプラットフォームです。
保管されるデータの内容と設定手順
今回導入されたのは、保存データ(Data at rest)を対象国の中に留める仕組みです。
新しくChatGPT EnterpriseやEduのワークスペースを開設する管理者は、対象国を選択することで、データを国内に保管できるようになります。これにはユーザーとChatGPTの会話履歴やカスタムGPTの設定、プロンプト、アップロードしたテキストや画像ファイルなどが含まれます。
APIを利用する組織も同様です。APIプラットフォームのダッシュボードで新規プロジェクトを作成する際に対象国を指定すれば、そのプロジェクトに関連する保存データが国内のサーバーに格納されます。
セキュリティ面では、保存データにAES-256暗号化、通信データにTLS 1.2以上を採用しています。また、企業向けプランやAPIのデータはデフォルトでモデルの学習に一切使用されない方針が維持されており、SOC 2 Type 2やCSA STAR、GDPRなどの各種規格にも準拠しています。
アジア地域ではすでにソフトバンクやカカオ、グラブ、シンガポール航空などがOpenAIのサービスを活用しており、同社は2025年11月にもデータ保管オプションの提供地域を世界規模で順次拡大したことを明らかにしています。
なぜ重要か
金融機関や医療機関、官公庁、大学など、厳格なデータ主権の遵守が求められる組織にとって、導入の心理的・法的なハードルが大幅に下がりました。これまで規約上の理由でOpenAIとの直接契約を躊躇し、クラウド経由の間接的な利用に頼っていた層を、公式サービスに直接呼び込む効果があります。
業界全体で見れば、アジア現地のAIベンダーに対する強力な牽制になります。日本や韓国の国内モデル開発企業は「データが国内にとどまる安心感」を差別化ポイントにしてきましたが、OpenAIが同じ土俵に上がってきたことで、性能面での直接勝負を迫られることになります。
ただし、導入にあたって注意すべき点もあります。今回保証されているのはあくまで「保存時(at rest)」のデータ保管です。推論計算が行われる瞬間にデータがどのサーバーを経由するかまでは完全に国内限定とは明記されていません。また、既存のワークスペースからワンクリックで移行できるわけではなく、新規プロジェクトやワークスペースの立ち上げが必要になる点も事前の確認が必要です。
情報源 (1)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com
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