NVIDIAの黄CEO、AI計算需要はChatGPT登場時の「100倍」と指摘
米NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、段階的に思考する推論モデルの普及により、AIが必要とする計算量はChatGPT公開時の100倍に達したと語った。DeepSeek台頭による需要減少の懸念を一蹴し、推論モデルこそが更なるGPU需要を生むと強調している。

DeepSeek R1の登場直後、Nvidiaの株価は1日で17%下落し、2020年以来最悪の暴落を記録しました。低コストで高度なモデルが作れるなら、高価なGPUはもう不要になるのではないかという懸念が広がったためです。
しかし、最新の四半期決算発表後に米CNBCのインタビューに応じたジェンスン・フアンCEOは、その見方を真っ向から否定しました。
推論モデルが求める「100倍」の計算能力
フアン氏によると、問題を段階的に思考して回答を導き出す新世代のAIは、ChatGPT登場時と比べて100倍の計算能力を必要とします。
同氏は思考プロセスを用いるモデルとして、DeepSeekのR1、OpenAIのGPT-4、xAIのGrok 3を挙げました。
フアン氏はDeepSeekを素晴らしいと称賛し、世界水準の推論モデルをオープンソース化したことを高く評価しています。ただし、それがチップ需要を減らすのではなく、むしろ大量のGPUを消費する推論手法を世に広げたと指摘しました。
Nvidiaの第4四半期決算も好調を維持しています。売上高は前年同期比78%増の393億3000万ドルに達し、そのうちAI向けGPUを含むデータセンター部門が93%増の356億ドルと、全体の9割以上を占めました。
中国市場の後退と60倍の性能差
一方で、地政学的な逆風は確実に強まっています。米国の輸出規制強化により、中国市場がNvidiaの売上高に占める割合は約半分に低下しました。
さらに、Huaweiなど中国現地メーカーとの競合も激しさを増しています。
製品性能の格差も開く一方です。フアン氏によれば、米国内で販売されている最新のGB200は、輸出規制に準拠して中国向けに出荷されている制限版チップと比べて、AIコンテンツの生成速度が60倍高速です。
それでもフアン氏は、開発者はスーパーコンピュータであれPCであれ、ソフトウェアの工夫によって規制を乗り越える方法を見つけ出すだろうと述べ、ソフトウェアは常に道を見つけると語りました。
なぜ重要か
フアン氏の今回の発言は、DeepSeekショックという最大の脅威を、自社チップの強力な追い風へと鮮やかに再定義した点に意味があります。
ユーザーや開発者にとっては、事前学習のコストが下がっても、モデルに考えさせる推論フェーズでは依然として膨大な計算資源が消費されるという現実を示しています。複雑なタスクをこなす自律型エージェントを作りたいなら、GPUインフラへの投資を減らす選択肢は当面なさそうです。
業界全体で見れば、オープンソースによって推論モデルが普及した結果、世界中で動くAIワークロードの総量が跳ね上がり、巡り巡ってNvidiaの優位性が保たれる構図が見えてきます。
しかし、懸念がないわけではありません。米国向けと中国向けで60倍もの性能差が生じている状況は、中国国内でHuaweiなどの代替チップへの移行を不可逆的に進める要因になります。ソフトウェアの工夫だけで60倍のハード差を埋めるのは現実的ではなく、米中におけるAIエコシステムの分断はさらに加速すると私たちは考えます。
情報源 (1)
- cnbc.com(新しいタブで開きます)原文cnbc.com
トピックを追うDeepSeekによるNvidiaチップ需要への影響
- DeepSeek「R2」の噂が浮上:1.2兆パラメータ、Huaweiチップで訓練か
- NVIDIAの黄CEO、AI計算需要はChatGPT登場時の「100倍」と指摘この記事
- DeepSeek人気でNvidia「H20」の受注が急増、テンセントやアリババが増産へ
- エヌビディアのフアンCEO、DeepSeek巡る市場の反応に「完全に逆だ」