本文へスキップ
IFAI

業界動向

ビリー・アイリッシュら音楽家200人超、AIによる無断学習の停止を要求

公開 拡散指数 40

ビリー・アイリッシュやニッキー・ミナージュら200人以上の著名アーティストが公開書簡に署名した。テック企業に対し、無許可で楽曲をAIモデルの学習に使い、声や肖像を盗用する「捕食的な行為」を直ちにやめるよう求めている。

ビリー・アイリッシュら音楽家200人超、AIによる無断学習の停止を要求
画像:techcrunch.com

この抗議文の署名欄をそのままステージに並べたら、グラストンベリーやコーチェラも顔負けのフェスができあがります。

Billie Eilish、Nicki Minaj、Katy Perryを含む200人以上の著名ミュージシャンが、無責任なAI音楽ツールの開発によって人間の創造性を損なわないよう求める公開書簡に共同署名しました。

署名リストにはJon Bon Jovi、Pearl Jam、Jonas Brothers、さらにはBob Marleyの遺産管理団体や新世代のChappell Roanまで、ジャンルも世代も超えた顔ぶれが並んでいます。

許可なき学習という「タダ食い」への怒り

書簡の文面は極めてストレートです。巨大テック企業が無断でクリエイターの楽曲を使ってAIモデルをトレーニングしており、プライバシーやアイデンティティ、そして生計を脅かしていると訴えています。

トップスター以上に深刻なのが、日々の生活を音楽で支えている無名のソングライターや演奏家たちです。書簡では、彼らにとってこの事態は壊滅的な打撃になると警告しています。

作家界でも7月に1万5000人以上がOpenAIやAlphabet、MetaなどのCEO宛てに抗議文を送っており、著作物を勝手に使って支払いをしない行為を「請求書のない無限のご馳走」と批判していました。

しかしテック企業側が開発の手を緩める気配はありません。現行の著作権法では生成AIの急速な進化をカバーしきれておらず、法的な救済を求めるのも難しいのが実情です。

サブスクの傷が癒えない音楽業界

ミュージシャンがテクノロジーに強い不信感を抱くのには、これまでの苦い歴史があります。

かつてファイル共有ソフトによって楽曲が無料でばらまかれ、その救世主として登場したストリーミング配信も、アーティスト側を十分に潤す仕組みにはなりませんでした。音楽業界の労働組合(UMAW)の試算によると、Spotifyの1再生あたりの平均ロイヤリティは約0.0038ドル、わずか4分の1セント程度にとどまります。

AdobeやStability AIのように正規ライセンスやロイヤリティフリー音源を学習に使う動きもありますが、それでも危機は去りません。

テレビCMの劇伴やストック音源のライセンス収入など、これまで現場の音楽家を支えてきた日銭を稼ぐ仕事が、AIに丸ごと置き換えられる懸念が残るからです。

なぜ重要か

今回の署名は有名アーティストが前面に立っていますが、本当に守ろうとしているのは現場で働く裏方の制作陣です。メガヒットを飛ばすスターはライブやグッズで生き残れますが、広告音楽やBGMを地道に納品して生計を立てていたクリエイターは、数秒でそれらしい曲を作るツールに居場所を奪われかねません。

私たちは、AI開発企業がこれまでのような「無断学習のやり逃げ」を続けられる時間はもう長くないとみています。作家や音楽家からの圧力が高まれば、いずれは正規の楽曲カタログに対する大規模なライセンス契約を結ばざるを得なくなるはずです。

一方で、公開書簡を出すだけでは現状を止める決定打になりにくいのも事実です。膨大なデータセットに自分の曲がどう取り込まれたかを立証するのは困難で、後から学習データから自分の曲を消去させることも技術的にほぼ不可能です。実効性のある法規制や対価の分配ルールが整備されない限り、クリエイター側の防戦一方な状況はしばらく続きそうです。

情報源 (1)

  1. [1]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com

トピックを追う音楽業界によるAI音声・肖像権保護の動き

このトピックのニュース。新しい順です。

  1. ユニバーサルミュージック、AI企業KLAYと提携 倫理的音楽モデル開発へ
  2. Metaとユニバーサルが提携拡大:無断AI生成コンテンツへの対策で合意
  3. 音楽生成AI「Suno」、全米レコード協会の著作権侵害訴訟に反論
  4. YouTube、大手レコード会社に一括支払いで楽曲のAI学習許諾を交渉中
  5. 全米レコード協会がSunoとUdioを提訴:AI学習は「フェアユース」か

毎日のAIピックアップ