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研究

マイクロソフト、タンパク質の動的構造を予測する「BioEmu-1」をオープンソース化

公開 拡散指数 34

マイクロソフトはタンパク質の多様な立体配座を予測する深層学習モデル「BioEmu-1」をオープンソース公開した。従来の分子動力学シミュレーションと比べ計算コストを最大10万分の1に削減し、単一GPUで1時間に数千の構造を生成できる。創薬やタンパク質機能の解明加速が期待される。

マイクロソフト、タンパク質の動的構造を予測する「BioEmu-1」をオープンソース化
画像:microsoft.com

BioEmu-1は、マイクロソフトがオープンソース化したタンパク質の動的構造アンサンブルを予測する深層学習モデルだ。AlphaFoldなどの既存ツールが映画の1コマのような静的なスナップショットを提供するのに対し、BioEmu-1はタンパク質が柔軟に変形・機能する様子を捉えることができる。

何ができるのか

最大の強みは生成速度と計算効率の高さにある。BioEmu-1は単一のGPU上で、1時間に数千ものタンパク質立体配座を生成できる。

創薬や生化学の研究では、タンパク質の挙動を観察するために古典的な分子動力学(MD)シミュレーションが使われてきた。しかし、機能的な構造変化を捉えるには膨大な計算資源が必要で、数カ月から数年規模のシミュレーション時間がネックとなっていた。

BioEmu-1は、D. E. Shaw ResearchによるProtein Gのシミュレーション結果と比較したベンチマークにおいて、従来のMD平衡分布を正確に再現しながら、必要なGPU時間を1万分の1から10万分の1に削減した。

未知のタンパク質配列への汎化性能も高い。コレラ菌由来のLapDタンパク質を検証したところ、トレーニングデータに含まれていなかったにもかかわらず、c-di-GMP分子との結合状態および非結合状態の双方を予測できた。さらに、実験では直接観測されたことがない中間遷移構造も提示した。

また、折りたたみ構造と変性構造の比率をサンプリングすることで得られる自由エネルギーの予測値も、実際の実験データと良好に相関している。

仕組みと利用方法

モデルの精度を支えるため、開発チームは3種類のデータセットを組み合わせて学習させた。

まずAlphaFold Database(AFDB)の構造データで立体配座空間の大枠を把握させ、次に大規模なMDシミュレーション軌跡データによって物理的に妥当なゆらぎを学習させた。最後に、実験に基づくタンパク質折りたたみ安定性データで微調整し、熱力学的に正しい確率で状態をサンプリングできるようにしている。

ソウル大学のMartin Steinegger教授は、高精度な静的構造予測の次に来るフロンティアは動態予測であり、生成AIによって自由エネルギー地形の高速サンプリングを可能にしたBioEmuは重要な前進だと評価している。

BioEmu-1は現在オープンソースとしてコードやモデルが公開されており、Azure AI Foundry Labsでも試すことができる。

なぜ重要か

創薬パイプラインを抱える研究者やバイオインフォマティクス技術者にとって、すぐに検証する価値があるツールだ。多くの治療薬は特定の動的配座に結合して作用するため、候補構造の探索を数時間で回せる恩恵は大きい。

ただし、現段階では初期のステップであることも意識しておく必要がある。生成モデルは桁違いに高速な反面、未知の複合体などで物理的な不整合を起こす懸念が残る。従来の精密MDやウェット実験を完全に置き換えるのではなく、高速な仮説生成フィルターとして活用するのが最も現実的だろう。

情報源 (1)

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    microsoft.com(新しいタブで開きます)原文microsoft.com

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