Microsoft、個人向け「Copilot Pro」を発表 月額20ドルでOffice内のAI機能が利用可能に
Microsoftは個人向け有料サブスクリプション「Copilot Pro」の提供を開始した。月額20ドルでWordやExcel、PowerPointなどのOfficeアプリ内でAI支援機能が使えるほか、GPT-4 Turboへの優先アクセス権が含まれる。なお、Officeアプリで利用するにはMicrosoft 365の契約が別途必要となる。

マイクロソフトが、大企業向けに先行展開していたオフィス向けAIの扉を一般個人にも開放しました。
同社は個人向け有料サブスクリプション「Copilot Pro」を発表しました。料金は1ユーザーあたり月額20ドルです。Word、Excel、PowerPointといった定番アプリの内部で直接AI機能が使えるほか、OpenAIの最新モデルへの優先アクセス権が提供されます。
ただし注意すべき点があります。Officeアプリ内でAIを呼び出すには、別途「Microsoft 365 Personal」または「Family」の契約が必要です。月額20ドルはあくまでAI機能の追加枠という位置づけです。
日常のオフィス作業に入り込むAI
Microsoft 365の個人契約者がCopilot Proを追加すると、Windows、Mac、iPadの各アプリ上でCopilotが有効になります。
Wordではカーソル位置で文章の言い換えや要約、新規テキストの生成が可能です。Outlook.comではメールの下書き作成や返信アシストが動き、Excelではデータ分析やグラフ作成を支援するプレビュー版が利用できます。PowerPointでは、チャットプロンプトからスライド全体の構成を自動生成できます。
ただし、法人版で注目を集めた「Word文書を読み込ませてPowerPointスライドを一括生成する機能」は省かれています。個人版には組織データを束ねるMicrosoft Graph基盤がまだ組み込まれていないためです。
Microsoft 365を契約せずにCopilot Pro単体(月額20ドル)を契約した場合は、ChatGPT Plusに対抗するスタンドアロンのAIサービスとして機能します。混雑時でもGPT-4 Turboへの優先アクセスが保証され、横長フォーマットに対応した進化した画像生成機能や、独自のカスタムAIを作成できる「Copilot GPT Builder」が順次利用可能になります。
中小向け条件撤廃と無料版の制限
今回の発表に伴い、周辺のラインナップや提供条件にも大きな動きがありました。
これまで無料でGPT-4が使い放題だった一般のCopilot(旧Bing Chat)は、GPT-4への無料アクセスが「ピーク時以外(非混雑時)」に制限される形へと改められました。常に高速な最高性能を使いたい場合は、Proへ誘導する仕組みです。
あわせて、iOSおよびAndroid向けの公式Copilotアプリが正式リリースされました。また法人向けの「Copilot for Microsoft 365」(月額30ドル/ユーザー)では、これまで設定されていた「最低300シート」という大企業向けの導入制限が撤廃され、小規模事業者でも1ライセンスから契約できるようになりました。
マイクロソフトで検索およびAIマーケティングを率いるDivya Kumar氏は、最近の怒涛のAI展開を「連続する雷鳴(rolling thunder)」と表現し、ヘビーユーザーが求める処理速度や最新モデルをいち早く届けるための有料化だと説明しています。
なぜ重要か
私たちは、この発表が一般消費者向け生成AIの収益化における大きな転換点になると見ています。
一般ユーザーにとっての価値は、日常業務がどれだけOfficeに依存しているかに直結します。ブラウザのチャット画面とOfficeの間を何度もコピー&ペーストして往復していた人にとって、作業ウィンドウ内で直接文章が生成されスライドが組み上がる体験は、月額20ドル以上の時短効果を生むはずです。一方で、たまに文書を書く程度のライト層にとっては、基本の365料金に加えてさらに20ドルを上乗せする負担感は小さくありません。
業界全体への影響として、マイクロソフトはOpenAIのChatGPT Plusと同じ月額20ドルという価格設定で、自社が握る最大の武器であるデスクトップアプリの生態系をぶつけてきました。どれほど優秀なWeb型AIが登場しても、WordやPowerPointのUIに深く溶け込んだ操作感には対抗しづらく、競合他社にとって大きな脅威となります。
しかし、このやり方には懸念も残ります。無料版のGPT-4利用をピーク時以外に絞るという実質的な機能制限や、ベースのOffice契約とAI契約の二重課金モデルは、ユーザー側に割高感を抱かせるリスクがあります。さらに、Wordからスライドを自動生成する機能が省かれているなど、法人版との機能格差が存在する中で、実際の生成クオリティがユーザーの期待を下回れば、解約の波が早々に訪れる可能性もあると考えられます。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com