本文へスキップ
IFAI

業界動向

マイクロソフトが製造業向けAIを発表、現場の機器トラブルを自然言語で解決へ

公開 拡散指数 33

マイクロソフトは製造業向けのデータおよびAIソリューションを発表しました。Azure AI上の工場オペレーション用Copilotテンプレートにより、現場の作業員が自然言語で設備データを検索し、故障原因などを素早く特定できるようになります。現在はプライベートプレビューとして提供されています。

マイクロソフトが製造業向けAIを発表、現場の機器トラブルを自然言語で解決へ
画像:blogs.microsoft.com

工場の現場で最も恐れられているのは、設備の稼働音ではなく、機械が突如として沈黙する瞬間です。

これまでの製造ラインでは、不具合が起きるとベテラン作業員が分厚い紙のマニュアルをめくったり、複雑な帳票を何日もかけて突き合わせたりするのが常でした。4月17日、ハノーバーメッセの開幕を前に、マイクロソフトは製造業向けの新しい産業用AIおよびデータソリューションを発表し、現場の最前線にCopilotを投入しました。

設備の故障原因を自然言語でチャット検索

製造業は世界屈指のデータ集約型産業です。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの試算によると、世界の製造業は毎年平均して1.9ペタバイトものデータを生み出していますが、その大半は活用されずに埋もれたままです。

マイクロソフトはこの課題に対し、Microsoft Fabric内の製造データソリューションのプライベートプレビューを開始しました。現場のセンサーやレガシー機器から得られるOTデータと、基幹ITシステムを統合するのが狙いです。

さらにAzure AI上では、工場運営向けCopilotテンプレートのプライベートプレビューも始まります。現場の作業員が「なぜこの機械が停止したのか」と普段の言葉で質問すれば、過去の保全履歴やセンサー値から原因を割り出し、これまで数週間かかっていた原因特定を数日に短縮できます。

すでに包装材メーカーのIPGがこの仕組みを試験導入し、歩留まり改善や在庫削減に役立てています。またブリヂストンもアバナードと組み、経験の浅い作業員でもトラブルを早期解決できるよう実証実験を進めています。

リモート保守の画面上に注記を空間固定

現場の保守点検を支援する機能も拡充されました。

同社の調査によると、現場作業員の63%が反復作業に追われていると感じており、80%がAIによる情報検索の効率化を期待しています。これを受け、Dynamics 365 Field ServiceにおけるCopilot機能が一般提供(GA)となりました。

管理者は自然言語で作業指示書を検索でき、Teamsアプリ上では作業指示カードの展開が可能です。さらに現場の技術者が遠隔の専門家とTeams経由で接続すると、Dynamics 365 Remote Assistにより、カメラを動かしても部品の上に注記が固定され続ける空間アノテーションを利用できます。

また、エレクトロラックスのような多拠点を抱える企業向けには、Azure IoT Operationsを活用した適応型クラウドを提案し、各工場の管理一元化を支援します。サプライチェーンのトレーサビリティを追跡するアドインも近日プレビュー予定です。

なぜ重要か

私たちは、マイクロソフトが製造業の最も泥臭く切実な課題である「ベテランのノウハウ継承」と「保全作業の迅速化」に生成AIを当てはめた点は非常に賢明だと考えます。

熟練工の不足に悩む工場にとって、新人がタブレットに問いかけるだけで過去の知見を引き出せる価値は絶大です。すでに設備のデジタル化やセンサー設置が進んでいる工場であれば、早期にテスト導入を検討する価値があります。

ただし懸念もあります。オフィス文書の作成とは異なり、工場の保全手順においてAIがハルシネーションを起こせば、高額な設備の故障や作業員の重大な安全リスクに直結します。また、製造ノウハウそのものであるOTデータをパブリッククラウドに送ることに対する現場の心理的ハードルも依然として高いはずです。

それでも、Fabric、Azure、Teamsを連携させて工場丸ごと囲い込むマイクロソフトのアプローチは、AWSやシーメンスなどの競合他社に対しても強力な牽制となり、産業向け生成AIの導入競争を加速させることになりそうです。

情報源 (1)

  1. [1]
    blogs.microsoft.com(新しいタブで開きます)原文blogs.microsoft.com

トピックを追うMicrosoft Copilot の統合

このトピックのニュース。新しい順です。

  1. マイクロソフト、Copilot+ PC版「Surface」を発売:999ドルから
  2. マイクロソフト、Telegram向け公式「Copilot」ボットを公開
  3. マイクロソフトがTeam Copilot発表:会議の議事録やタスク管理を担うチーム向けAI
  4. マイクロソフトが「Recall」発表:PCに写真のような記憶力を与える新検索
  5. マイクロソフトが製造業向けAIを発表、現場の機器トラブルを自然言語で解決へこの記事

毎日のAIピックアップ