Metaが「超知能」特化の新AIラボ設立へ、Scale AIトップ招致と巨額投資を計画か
報道によると、Metaは人間の知能を超える「超知能」を目指す新AI研究所の立ち上げを準備中だ。Scale AIのCEOアレクサンダー・ワン氏の招聘や巨額投資を協議しており、OpenAIやGoogleから高額報酬で研究者を引き抜いて開発体制の立て直しを図っている。

シリコンバレーの人材獲得競争が、ついに「9桁ドル(1億ドル超)」の領域に突入しました。
The Indian Expressの報道によると、Metaは人間の脳を超える能力を持つ仮説上のシステム「超知能(Superintelligence)」の実現を目指す、新たなAI研究所の設立を準備しています。41歳のマーク・ザッカーバーグCEOはこの新組織に、AI向けデータラベリング大手Scale AIの創業者兼CEOであるアレクサンダー・ワン氏(28)を招聘する方針です。
異例の巨額投資と引き抜き工作
関係者によると、MetaはScale AIへの数十億ドル規模の投資交渉を進めており、これに伴いワン氏だけでなく同社の主要従業員もMetaに移籍させる計画です。さらにMetaは、OpenAIやGoogleなどのトップ研究者数十名に対し、7桁から9桁(数百万人から1億ドル超)に及ぶ破格の報酬パッケージを提示し、すでに一部の研究者が合流に同意していると報じられています。
この動きの背景には独占禁止法への警戒があります。米連邦取引委員会(FTC)がInstagramやWhatsAppの買収をめぐりMetaを提訴している最中であるため、完全買収ではなく、MicrosoftやGoogleが先行したような「巨額出資と人材引き抜きを組み合わせた特殊な座組み」を採用した格好です。
ワン氏はOpenAIのサム・アルトマンCEOとかつて同居していた経歴を持ち、今年1月にはThe Washington Post紙に全面広告を出し、ドナルド・トランプ大統領に向けて「米国はAI戦争に勝たなければならない」と訴えたことでも知られています。
社内対立とベンチマーク問題の焦り
今回の組織再編は、Meta社内の深刻な焦燥感を反映しています。5月にザッカーバーグ氏は「Meta AI」の月間アクティブユーザー数が10億人を超えたと発表しましたが、AI部門では過酷な開発ペースやチーム幹部の内紛により人材流出が続いていました。
さらに4月には、同社が公開したオープンソースAIモデル「Llama」の新版について、ベンチマークテストのスコアが見た目以上に高く出るよう作為的に設計されていたことが外部の研究者によって暴露されました。開発者コミュニティからの批判に対し、ザッカーバーグ氏は「性能不足を取り繕ったと見なされたこと」に激怒していたと伝えられています。
また、チューリング賞受賞者で現MetaチーフAIサイエンティストのヤン・ルカン氏は、現在の大規模言語モデル(LLM)の手法ではAGIには到達できず、まったく新しいアーキテクチャが必要だと一貫して主張してきました。ザッカーバーグ氏の新ラボ設立は、そうした長期的な学術研究を待てない経営陣の危機感の表れと言えます。
なぜ重要か
オープンソースモデルを活用してきた開発者にとって、この路線変更は注視すべき転換点です。Metaはこれまで「Llama」を無償公開することで支持基盤を固めてきましたが、数億ドル規模の人件費と膨大な計算リソースを投じる超知能プロジェクトが始動すれば、従来の太っ腹なオープン路線をそのまま維持できるのかという疑問が生じます。
業界全体から見れば、ザッカーバーグ氏が提示した9桁ドルの報酬は、OpenAIやGoogleに前例のない防衛コストを強いることになります。大手テック企業が有力スタートアップを丸ごと買い取るのではなく、特殊な出資契約で中核人材とデータ基盤だけを自社に組み込む手法は、今後のAI再編の標準モデルになりつつあります。
データ生成・洗浄で業界トップのScale AIのノウハウを取り込むこと自体は極めて合理的な判断に見えます。しかし、すでに内紛とベンチマーク不正疑惑で揺れているMetaの既存チームに、莫大な報酬で外部のスター人材を落下傘投入する試みには大きな火種も潜んでいます。ルカン氏率いる既存の研究陣との融合に失敗すれば、超知能どころか社内分断がさらに深まるリスクを抱えています。
情報源 (1)
- indianexpress.com(新しいタブで開きます)原文indianexpress.com