米連邦地裁、OpenAIに対する報道2社の著作権訴訟を棄却
米連邦地方裁判所は、Raw StoryとAlterNetがOpenAIを相手取って起こした訴訟を棄却しました。原告はChatGPTの学習データ作成時に記事の著者名などの権利情報が削除されたと主張しましたが、裁判官は具体的な損害が示されていないと判断しました。修正後の再提訴は認められています。

AIの学習をめぐる著作権侵害の追及に、米国の裁判所が冷や水を浴びせました。
ニューヨーク南区連邦地方裁判所のコリーン・マクマホン判事は木曜日、ニュースメディアのRaw StoryとAlterNetがOpenAIに対して起こしていた著作権訴訟を棄却しました。原告側が「具体的な損害」を示せていないと判断したためです。
DMCAを突いた訴訟戦術の失敗
2社は2月に訴訟を提起した際、直接的な著作権侵害を争うのではなく、別の戦術を取りました。OpenAIが学習データセットを作成する際、記事の著者名やタイトルといった「著作権管理情報(CMI)」を削除したことが、1998年のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に違反していると主張したのです。
原告側は、ChatGPTが著作権表示なしに記事内容を出力するリスクがあると主張し、損害賠償と差し止め命令を求めていました。
しかし、マクマホン判事はこれを退けました。判事は、学習データ全体の膨大さを考慮すると、ChatGPTが原告の記事をそのまま剽窃して出力する可能性は極めて低いと指摘しました。また、ニュース記事に含まれる事実そのものは著作権で保護されない点にも言及しています。
過去にChatGPTが原文をそのまま出力した事例についても、現行バージョンでは再現できないと指摘し、意図的な仕様ではなく稀な不具合にすぎないというOpenAI側の立場を支持しました。
判決文の中でマクマホン判事は、原告が真に救済を求めているのはCMIの除外ではなく、OpenAIが対価を支払わずに記事を使ってChatGPTを開発したことそのものだと、本質を突いています。
裁判所は訴状の修正を認めつつも、その修正が無駄にならない理由を示す必要があると慎重な姿勢を示しました。Raw Story側の弁護士は修正訴状での挽回に自信を示し、OpenAI側は公開データを用いた学習はフェアユースの原則に則ったものだと改めて声明を出しています。
なぜ重要か
この判決は、AI開発企業を著作権法で牽制しようとするコンテンツ提供側にとって、大きな痛手となります。
メディア側にとって、DMCAの形式的な違反を突いて補償を引き出す抜け道はほぼ塞がれました。裁判所が求めているのは、実際のビジネスに対する具体的かつ定量的な損害の証明です。モデルの出力として明確な盗用が起きていない限り、「無断で学習された」という事実だけで法的な勝利を得るのは極めて難しくなっています。
AI業界にとっては、大規模言語モデルがデータを「複製」しているのではなく「合成・要約」しているという主張が司法に一定程度認められた形です。フェアユース防衛の論理補強として大きな意味を持ちます。
もっとも、OpenAIが直面する法的リスクがすべて解消されたわけではありません。ニューヨーク・タイムズによる正面からの著作権侵害訴訟など、大手メディアとの対決は依然として続いています。ライセンス契約を結ぶメディアと法廷闘争を続けるメディアの間で、業界の分断はさらに深まりそうです。
情報源 (4)
- reuters.com(新しいタブで開きます)原文reuters.com
- siliconangle.com(新しいタブで開きます)報道siliconangle.com
- the-decoder.com(新しいタブで開きます)報道the-decoder.com
- yahoo.com(新しいタブで開きます)報道yahoo.com
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