本文へスキップ
IFAI

AIモデル

DeepSeek、「V4.1-Flash」をAPI公開 552BのMoEでメモリ消費を大幅削減

公開 拡散指数 57

DeepSeekは、552BパラメータのMoEモデル「DeepSeek-V4.1-Flash」をAPIで提供開始した。因果的エンコーダ・デコーダ構成を採用し、入力時のアクティブパラメータを8Bに抑制。KVキャッシュに必要なHBMを従来の4分の1、SSDを8分の1に抑えつつ、V4-Proを上回る性能を発揮する。

DeepSeek、「V4.1-Flash」をAPI公開 552BのMoEでメモリ消費を大幅削減
画像:therundown.ai

大規模言語モデルの価格破壊競争が、新たな局面に入りました。

DeepSeek は 9 月 10 日、新アーキテクチャを採用したモデル「DeepSeek-V4.1-Flash」を公開しました。API 提供に加えて、Hugging Face 上で MIT ライセンスに基づくモデルウェイトと技術レポートを配布しています。

同社は旧フラッグシップである V4-Pro の退役も発表しており、9 月 14 日以降、V4-Pro 宛ての API リクエストは順次 V4.1-Flash へ自動的に切り替えられます。新モデルが旧主力機をそのまま置き換える形です。

入出力のパラメータを分離、KV キャッシュを大幅削減

V4.1-Flash の最大の特徴は、計算効率を極限まで追求したアーキテクチャにあります。

総パラメータ数 552B の MoE 構成ですが、一般的な Decoder-only ではなく、因果関係を考慮したエンコーダ・デコーダ構造を採用しました。入力時は 8B、出力時は 16B のパラメータのみをアクティブにする非対称な仕組みを導入しています。

さらに踏み込んだのがメモリフットプリントの圧縮です。前世代と比較して、KV キャッシュが必要とする HBM 容量は 4 分の 1、SSD ストレージは 8 分の 1 にまで激減しました。

自律型エージェントの運用では、コンテキスト保持に伴うキャッシュコストが請求額の大部分を占めがちです。ここを削り落としたことで、オフピーク時なら未キャッシュの入力が 100 万トークンあたり 0.15 ドル、出力が 0.60 ドルという異例の低価格が実現しました。

コーディングでは互角以上、総合性能には課題も

性能面では、得意領域と苦手領域のコントラストがはっきりしています。

最大推論設定でのテストにおいて、コーディングベンチマーク DeepSWE v1.1 では 74.2 を記録し、Claude Opus 5 の 74.0 や GPT-5.6 Sol の 73.0 を上回りました。AutomationBench や CyberGym でも優勢を示しています。

一方で、Terminal-Bench 4.0 では米国勢の後塵を拝しました。学術推論の GPQA Diamond でも 90.9 にとどまり、退役する V4-Pro の 92.4 を下回っています。総合的な指標である Artificial Analysis インデックスでもスコアは 40 で、トップの GPT-6 Astra や Claude Fable 5.1 の 53 には届いていません。

なお、開発背景をめぐっては Anthropic が 9 月のレポートで、DeepSeek が保護を回避して Opus の推論ログを蒸留に利用したと主張していますが、今回のモデルにそれが直接関与したかは立証されていません。

なぜ重要か

私たちは、DeepSeek の狙いは全方位での最高峰奪取ではなく、実用タスクにおける圧倒的な費用対効果の確立にあると考えています。

開発者や企業にとって、コード生成や定型的な自動化パイプラインであれば、今すぐ検証する価値が十分にあります。特にオフピーク時の料金半額設定を活用すれば、運用コストを劇的に圧縮できるはずです。ただし、複雑な論理展開や失敗が許されない端末操作では成功率が下がるリスクがあり、再試行が増えれば安さのメリットが相殺される点には注意が必要です。

業界全体に対する影響も無視できません。オープンウェイトの強みを活かし、高価な商用 API に依存しない選択肢を提示することで、先行する米国ラボに対して強い価格引き下げ圧力をかけることになります。特定の専門業務において十分な性能が極めて安価に提供される流れは、今後のエンタープライズ市場の勢力図を着実に塗り替えていくと見られます。

情報源 (1)

  1. [1]
    api-docs.deepseek.com(新しいタブで開きます)原文api-docs.deepseek.com

毎日のAIピックアップ