DeepMindが「OPRO」発表、LLMが自らプロンプトを最適化
DeepMindの研究チームは、大規模言語モデルをオプティマイザとして活用する新手法「OPRO」を発表した。数式ではなく自然言語と過去のスコア履歴をもとに、モデル自身が試行錯誤を繰り返してタスクの精度を最大化するプロンプトを自動生成できる。

大規模言語モデルから精度の高い回答を引き出すために、プロンプトを少しずつ変えて試行錯誤した経験は誰にでもあるはずです。文末に「ステップバイステップで考えよう」と添えるだけで推論結果が激変するように、プロンプトの調整は依然として職人技のような手作業に依存しています。
こうした課題に対し、DeepMind の研究チームが新しいアプローチを発表しました。Optimization by PROmpting、略して OPRO と呼ばれるこの手法は、大規模言語モデルそのものを最適化ツールとして使い、モデル自身に最適なプロンプトを探させる仕組みです。
自然言語で最適化を回す
ディープラーニングの世界では通常、微分を用いた数理的な最適化アルゴリズムが使われますが、現実世界の複雑なタスクではうまく機能しない場面が少なくありません。DeepMind は数式で最適化を厳密に定義する代わりに、解きたい課題を自然言語で記述する手法を選びました。
モデルにはテキストで課題を伝え、過去の試行結果を参考にしながら反復的に新しい解を生成させます。小規模な最適化問題において、このテキスト指示だけで専門家が設計したヒューリスティックなアルゴリズムと同等か、それを上回る成果が出せることを確認したといいます。
メタプロンプトによる改善のサイクル
OPRO の仕組みは「メタプロンプト」を中心としたループで動きます。このメタプロンプトには、タスクの説明文、サンプルの問題、評価指標、そして過去の試行とそのスコアが含まれています。
モデルはこの履歴を手がかりにして新しい解の候補を生成します。システムがその候補を採点し、高スコアを獲得した解を再びメタプロンプトの履歴に追加します。大規模言語モデルは文脈の中からパターンを読み取る能力に長けているため、過去の軌跡を見せるだけで、自律的に良い解の方向性を捉えてブラッシュアップを続けることができます。
研究チームは線形回帰や巡回セールスマン問題といった数学的課題でこの動作を確認したほか、ChatGPT や PaLM 向けのプロンプト最適化にも適用しました。その結果、最初は精度の低かった指示文からスタートしても、反復を繰り返すことで正解率を大幅に引き上げるプロンプトを自動で見つけ出すことに成功しました。
なぜ重要か
プロンプトエンジニアリングを日常的に行っている開発者にとって、OPRO は手作業による泥臭い試行錯誤を自動化する実用的な道筋を示しています。モデルやタスクが変わるたびに最適な言い回しが異なるという問題に対し、評価基準さえあればモデル自身にチューニングを任せられるため、今すぐ自社の検証パイプラインに取り入れてみる価値があります。
業界全体への影響としては、これまで専門のアルゴリズムエンジニアが数式を組んで解いていた最適化タスクを、普通の自然言語で指示できるようになった点が挙げられます。単に精度を高めるだけでなく「簡潔で汎用的な表現にせよ」といった条件を日常会話の言葉で付け加えられる柔軟性は、従来の数理ソルバーにはない利点です。
この取り組みは、モデルの文脈認識力を賢く活用していると評価できます。一方で、候補の生成とスコアリングを何度も繰り返すため、API の利用コストや計算リソースの消費が大きくなるという懸念は避けられません。あらゆる問題を解く万能な計算手法というよりは、本番環境向けのプロンプトを事前にじっくり磨き上げるツールとして活用するのが現実的だと考えられます。
情報源 (1)
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)原文venturebeat.com