百度のAI「文心一言」発表、録画デモで失望誘い株価6.4%急落
百度が対話型AI「文心一言(Ernie Bot)」を発表した。しかし発表会では実機でのリアルタイム操作がなく録画映像の紹介にとどまり、投資家の失望を招いて香港株が6.4%急落。同日よりテスト登録を開始したものの、李CEOは完成度に課題が残ることを認めている。

中国発のChatGPT対抗馬として期待を集めた晴れ舞台で、壇上に映し出されたのはリアルタイムの実演ではなく録画ビデオでした。
Baidu(百度)の創業者である李彦宏(Robin Li)氏は木曜日、北京で独自の対話型AI「文心一言(Ernie Bot)」を正式に発表しました。近年成長の鈍化に悩む同社にとって反撃の狼煙となるはずでしたが、李氏は用意された台本通りのデモ動画を背に解説を続けるにとどまりました。
市場の反応は冷ややかでした。香港市場で同社の株価は一時6.4%急落し、約30億ドル規模の時価総額が一気に吹き飛ぶ事態となりました。
ライブ実演なきお披露目と創業者の本音
世界最大のインターネット市場である中国の技術力がどこまでOpenAIに迫っているのか、業界の注目は極めて高いものでした。しかし、生の実演を避けた演出は、Ernie Botが本当にChatGPTに対抗できる水準にあるのかという疑念を広げる結果になりました。
深セン前海聯合財富基金管理の投資最高責任者(CIO)である余英波氏は、全体として録画映像とPowerPointに終始し、自発的な挙動が見られなかったと指摘しています。同氏は、どのようなデータベースに基づいているのか、モデルの詳細やChatGPTとの性能比較も示されず、すべてが曖昧で理論論にとどまっていると苦言を呈しました。
Baiduは発表当日から一般ユーザーやクラウド顧客向けに登録受付を開始したものの、実際にいつから利用できるのか具体的な日程は明らかにしていません。
李彦宏氏自身も、会見で現状の限界を認めています。同氏は、完全に準備が整ったとは言えないとした上で、ChatGPTや直近のGPT-4を指標とすることは極めてハードルが高いと語りました。その一方で、世界の巨大テック企業の中で先陣を切って対抗サービスを形にしたのはBaiduだと強調し、自ら試した感触としても不完全な部分はあると述べています。
著名なAI研究者であり起業家の李開復(カイフ・リー)氏は、中国のAIは現時点で米国のライバルに後れを取っているものの、膨大なデータ量と迅速な社会実装の経験によって時間をかけて追いつくだろうと分析しています。
なぜ重要か
私たちは、Baiduの今回の発表は、不完全であることを承知の上で先頭を走らざるを得なかった焦りと覚悟の両面を映し出していると考えます。
ユーザーや開発者の視点では、現状は利用登録をして順番待ちをするしかなく、実力を検証することすらできません。生成AIの醍醐味である即興性を封印し、録画済みの映像だけで説明されたのでは、期待していた人々が肩透かしを食らうのも無理はありません。
業界全体から見れば、同業であるAlibabaやTencentに先駆けて最初の一撃を放った意義は小さくありません。グローバルの大手IT企業としてChatGPT対抗製品をいち早く公の場に出したことで、企業向けクラウド市場での主導権争いにおいては先行者としての看板を手に入れました。
しかし、この手法には大きな危うさも伴います。実演をスキップした事実は、技術への信頼感を損なう引き金になりかねません。Baiduがこの失点を挽回できるかどうかは、順番待ちを終えた実ユーザーがシステムを触ったときに、本物の実力を示せるかどうかにかかっています。
情報源 (2)
- bloomberg.com(新しいタブで開きます)原文bloomberg.com
- finance.yahoo.com(新しいタブで開きます)報道finance.yahoo.com