Anthropic、海賊版書籍でのAI学習巡る集団訴訟で和解へ 巨額賠償の裁判を回避
米AnthropicはClaudeの訓練に海賊版書籍を使用したとして提訴されていた集団訴訟で、原告の作家グループと予備的和解に達した。12月に予定されていた裁判では最大1兆ドル超の損害賠償に直面するリスクがあった。和解の詳細は9月3日までに最終確定する見込み。

海賊版データをめぐる巨額訴訟を前に、Anthropicが和解を選びました。
米Anthropicは現地時間8月26日、著作権侵害を訴えていた作家グループとの集団訴訟において、和解案で合意したと裁判所に届け出ました。これにより、12月に予定されていた公判は回避される見通しです。
合法的な学習は認められても、海賊版のダウンロードは別問題
この裁判は、作家のAndrea Bartz氏らが昨年起こしたものです。AnthropicがAIモデル「Claude」を訓練する際、海賊版の書籍が大量に含まれるオープンソースデータセットを利用したと主張していました。
今年6月、連邦地裁のWilliam Alsup判事は、合法的に購入した書籍をAIモデルの学習に使うことはフェアユース(公正利用)に該当するという判断を示し、Anthropicにとって追い風となりました。
しかし7月、Alsup判事は作家側による集団訴訟の提起を承認しました。判事は、Anthropicが「Napsterのように数百万人分の著作物を大量にダウンロードした」点を問題視しました。
Wiredによると、12月の公判で敗訴した場合、数千億円から1兆ドルを超える賠償責任を負うリスクがありました。和解の具体的な条件は非公開ですが、9月3日に正式決定される予定です。作家側の代理人弁護士Justin Nelson氏は、全クラス構成員に利益をもたらす歴史的な和解だとコメントしています。
なぜ重要か
今回の和解は、生成AIの学習データ調達において極めて重要な境界線を示しました。
裁判所は「学習行為そのもの」についてはフェアユースを認めつつも、「データをどのように入手したか」という入手経路の違法性を厳しく切り分けました。つまり、どれほど訓練プロセスが革新的であっても、出所が海賊版であれば巨額の賠償責任を免れないという現実を突きつけた格好です。
Anthropicの判断は賢明だったと言えます。天文学的な賠償額のリスクを抱えたまま、陪審員の前で海賊版ダウンロードの正当性を主張するのは、事業存続をかけた無謀な賭けだからです。
一方で、この和解は権利者側に強力な交渉カードを与えることになります。海賊版データを使った痕跡さえ立証できれば、AI企業から実質的な対価やライセンス料を引き出せる前例となったため、他社を巻き込んだ同様の訴訟や交渉が今後さらに活発化すると見られます。
情報源 (2)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com