本文へスキップ
IFAI

業界動向

Anthropicの15億ドル著作権訴訟、和解が最終承認 1作品あたり3000ドル支払いへ

公開 拡散指数 53

米連邦地裁は海賊版サイトからの書籍データ収集を巡るAnthropicの集団訴訟で、15億ドルの和解案を最終承認した。約50万作品を対象に1作あたり3000ドルが支払われる。AI学習を「公正利用」とした判断が上訴審の拘束力ある判例として確定しないまま終結した。

Anthropicの15億ドル著作権訴訟、和解が最終承認 1作品あたり3000ドル支払いへ
画像:techcrunch.com

米連邦地方裁判所のAraceli Martinez-Olguin判事は月曜日、AIスタートアップのAnthropicが作家や出版社と合意していた15億ドルの集団訴訟和解案を最終承認しました。

原告側代理人の法律事務所によると、これは米国の著作権法史上、既知のものとして最高額の和解金となります。対象は約50万作品に及び、1作品あたり約3,000ドルが権利を持つ著者と出版社の間で分配されます。Anthropicの法務顧問Aparna Sridhar氏によると、対象となる権利者の91%以上がすでに支払いの受け取りを申請しています。

AI学習は適法でも、海賊版サイト利用はアウト

この訴訟は2024年、作家のAndrea Bartz氏、Charles Graeber氏、Kirk Wallace Johnson氏らが提起したものです。

昨年、当時担当していたWilliam Alsup判事(現在は退官)は、著作権で保護されたテキストを用いてAIを学習させること自体は「フェアユース(公正利用)」に該当するという、AI業界にとって歴史的な判断を下しました。

しかし、Anthropicがデータを収集した手段が致命傷となりました。同社は正規に購入した書籍をスキャンする一方で、Library GenesisやPirate Library Mirrorなどの海賊版サイトからも数百万冊を無断ダウンロードしていました。Alsup判事はこれを「Napsterのような海賊行為」と批判し、海賊版取得の違法性については陪審裁判を認める決定を出しました。巨額の損害賠償を恐れたAnthropicは2025年9月に和解に応じ、今回の最終承認に至りました。

一方で、すべての権利者が納得しているわけではありません。『チキンスープ・フォー・ザ・ソウル』などの一部権利者は、1作品あたり3,000ドルでは不十分だとして別個の訴訟を続けています。

なぜ重要か

Anthropicは15億ドルを投じて陪審裁判のリスクを回避しましたが、AI業界全体に法的な解決をもたらしたわけではありません。

和解によって訴訟が終結したため、Alsup判事による「AI学習=フェアユース」という判断は上訴裁判所で審理されず、法的拘束力のある確定判例にはなりませんでした。つまり、OpenAI、Meta、Midjourney、Googleなどが直面している他の著作権訴訟において、別の判事が正反対の判断を下す余地が完全に残されています。実際、先週もHachetteやElsevierなどの大手出版社がGeminiの学習データを巡ってGoogleを集団訴訟で提訴したばかりです。

開発者や企業にとっての教訓は明白です。裁判所はAIが学習すること自体を認める傾向を示しつつありますが、海賊版サイトからデータをかき集めるような不透明な収集行為は決して許しません。今後の基盤モデル開発において、クリーンな学習データセットを確保するコストは、計算リソースと同じくらい巨大な参入障壁になると私たちは考えています。

情報源 (2)

  1. [1]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
  2. [2]
    theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com

毎日のAIピックアップ