米作家グループがAnthropicを提訴:海賊版書籍でClaudeを学習と主張
米カリフォルニア州の裁判所で、作家グループがAnthropicを相手取り集団訴訟を起こした。オープンソースのデータセット「The Pile」に含まれる海賊版電子書庫「Books3」を使ってClaudeを無断学習させたと主張し、損害賠償などを求めている。Anthropicは以前、同データセットの利用を認めていた。

安全性や責任あるAIを掲げてきたAnthropicが、ついに著作権侵害をめぐる法廷闘争に巻き込まれました。
作家グループはカリフォルニア州の連邦裁判所にAnthropicを提訴し、集団訴訟の認定を求めました。訴状では、同社が「数十万冊もの著作権で保護された書籍を盗用することで、数十億ドル規模の事業を築き上げた」と激しく非難されています。
海賊版データセット「Books3」の影
今回の訴訟の中心にあるのは、オープンソースの大規模データセット「The Pile」と、その中に含まれる「Books3」と呼ばれるデータです。
原告には、『We Were Never Here』の著者Andrea Bartz氏や、『The Good Nurse』のCharles Graeber氏、『The Feather Thief』のKirk Wallace Johnson氏らが名を連ねています。
訴状によると、Anthropicは対話型AI「Claude」の学習にThe Pileを使用しました。その中のBooks3には、海賊版サイトBibliotikなどから収集された電子書籍が大量に含まれており、Stephen King氏やMichael Pollan氏といった著名作家の作品も網羅されています。
さらにAnthropicにとって不利な材料となったのが、今月に入って同社自身がニュースメディアVoxに対し、Claudeの学習にThe Pileを使用したことを認めていた点です。
原告側は、Anthropicが海賊版コンテンツだと知りながら複製・利用したと主張し、損害賠償の支払いや今後の著作権物利用の差し止めを求めています。
業界全体に広がる著作権包囲網
Books3自体はその後、公式のThe Pileからは削除されましたが、ネット上には依然としてオリジナルが出回っていると指摘されています。
また最近の調査では、AnthropicやAppleなどの企業が、The Pileに含まれていた数万件のYouTube動画字幕をAIの学習に使用していたことも明るみに出ています。
同様の訴訟はすでに業界全体へ波及しています。昨年には元アーカンソー州知事のMike Huckabee氏らがMetaやMicrosoft、The Pileを開発したEleutherAIを提訴しました。OpenAIに対しても、George R.R. Martin氏ら多数の著名作家が著作権侵害で訴訟を起こしています。
なぜ重要か
この訴訟は、安全性を看板にしてきたAnthropicにとって極めて大きな痛手になると私たちは考えます。
何より厳しいのは、AnthropicがVoxに対してThe Pileの使用を自ら認めてしまっている点です。多くのAI企業が学習データの詳細を非公開にして法的な追及をかわそうとする中、データを利用した事実そのものがすでに外堀を埋められた形になっています。
業界全体にとっても、オープンソースとしてネット上で流通しているデータセットを「そのまま使っただけ」という言い訳がもはや通用しないことを明確に示しています。
もし裁判所が海賊版データによる学習を違法と判断した場合、巨額の損害賠償だけでなく、学習済みモデルの破棄という最悪のシナリオも否定できません。今後はOpenAIのように莫大なライセンス料を払って正規の出版物データを買い取る動きが必須となり、フロンティアモデル開発のコストはさらに跳ね上がることになりそうです。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com