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研究

声を10秒聞くだけで2型糖尿病を判定、カナダの研究チームがAIモデルを開発

公開 拡散指数 33

カナダのKlick Labsなどの研究チームは、わずか6〜10秒の音声から2型糖尿病を検出するAIモデルを開発した。人間の耳では聞き分けられないピッチや強度の微細な変化を捉え、女性で89%、男性で86%の精度を達成。従来の血液検査に代わる低コストな遠隔スクリーニング技術として期待される。

声を10秒聞くだけで2型糖尿病を判定、カナダの研究チームがAIモデルを開発
画像:diabetes.co.uk

糖尿病の検査といえば、病院へ行き空腹のまま採血されるのが一般的です。もし自分の声をスマートフォンに向かって数秒話すだけで、AI が 2 型糖尿病かどうかを判定してくれるとしたらどうでしょうか。

カナダの Klick Labs とオンタリオ工科大学の研究チームが、まさにそれを実現する AI モデルを開発しました。学術誌「Mayo Clinic Proceedings: Digital Health」に掲載された論文によると、わずか 6 秒から 10 秒の音声を解析するだけで判定が可能です。

診断の精度は、女性で 89 パーセント、男性で 86 パーセントに達したと報告されています。

人間の耳には聞こえない声の揺らぎ

なぜ声から糖尿病がわかるのか不思議に思えますが、2 型糖尿病は人間の耳では聞き取れないピッチや声の強さの微小な変化を引き起こします。

研究チームはインド在住の 267 人の被験者を対象に実験を行いました。全体の約 72 パーセントは非糖尿病患者で、残る 75 人が 2 型糖尿病と診断されている人々です。被験者が 2 週間にわたり決まったフレーズを 1 日 6 回録音し、合計 1 万 8000 件の音声データを集めました。

AI はそこから 14 種類の音響的差異を特定し、年齢、性別、身長、体重といった基本的な身体データと組み合わせて解析を行いました。

興味深いことに、症状による声の現れ方は男女で大きく異なっていました。2 型糖尿病の女性は平均ピッチがやや低く声の変動が少ない傾向が見られ、男性患者は声の強度がやや弱く変動が大きいという特徴が出ました。筆頭著者の Jaycee Kaufman 氏も、この性差による音響シグナルの違いには驚いたと語っています。

採血からスマホへの呼びかけへ

現在、2 型糖尿病の診断には HbA1c 検査や空腹時血糖検査、経口ブドウ糖負荷試験などが用いられています。いずれも医療機関へ出向き、針を刺して採血する必要があり、時間とコストがかかります。

この技術の商用化を計画している Klick Labs は、音声判定によって受診のハードルを大幅に下げられると期待を寄せています。

研究チームは、この手法が直ちに確定診断に取って代わるものではなく、遠隔かつ自動で行える予備スクリーニングや日常的なモニタリングとして極めて有望だと位置づけています。

なぜ重要か

私たちが注目すべきだと考えるのは、痛みを伴う医療検査を、コストゼロの日常的な行動へ転換できる可能性です。

将来的にこのアルゴリズムがスマートフォンやスマートスピーカーに組み込まれれば、日常会話や音声操作のついでに病気のリスクを察知できるようになります。医療アクセスが乏しい地域や定期健診を受ける余裕のない人々にとって、未受診のまま放置される患者を早期発見する強力な武器になり得ます。

ただし、今すぐ従来の検査が不要になるわけではありません。今回の研究の限界として、被験者がインド国内の 267 人に限られている点が挙げられます。言語の違い、方言や訛り、さらには風邪による喉の不調がある状況でも同じ精度を維持できるかどうかは、今後の検証課題です。

それでも、音声バイオマーカーを活用した疾患予測は医療 AI における最注目領域の一つであり、大規模な追試で実効性が証明されれば、予防医療のあり方を大きく変える一歩になると考えられます。

情報源 (1)

  1. [1]
    diabetes.co.uk(新しいタブで開きます)原文diabetes.co.uk

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