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研究

Nature Medicine掲載のAI「ProtAIDe-Dx」:1回の採血で認知症関連6疾患を同時診断

公開 拡散指数 34

Nature Medicineに血漿プロテオミクスを用いた深層学習モデル「ProtAIDe-Dx」の論文が掲載された。17,187人のデータを基に、アルツハイマー病など6疾患を70〜95%のバランス精度で判定し、併発病理も特定可能。臨床で25〜50%に上る誤診の削減が期待される。

Nature Medicine掲載のAI「ProtAIDe-Dx」:1回の採血で認知症関連6疾患を同時診断
画像:nature.com

認知症の診断は、患者や家族にとって長く苦しいプロセスになりがちです。MRI検査や侵襲性の高い脳脊髄液採取を経ても、専門外来ですら25〜30%、一般診療では50%以上が誤診されているのが現状です。

国際学術誌「Nature Medicine」に掲載された最新の研究で、この状況を一変させる可能性を持つAIモデル「ProtAIDe-Dx」が発表されました。わずか1回の採血から得られる血漿プロテオミクスデータを解析し、認知症に関連する6つの病態を同時に診断します。

1度の採血で6つの病態と合併症を同時予測

高齢者の神経変性疾患において最大の壁となってきたのが、複数の病変が重なる合併病態です。80歳以上の患者の約70%は、複数の神経病理を併発しているとされています。アルツハイマー病以外の多くの病態では生前の高感度なバイオマーカーが存在せず、解剖して初めて確定診断がつくことも少なくありませんでした。

ProtAIDe-Dxは、世界19拠点・17,187人の大規模データセット(GNPC)をもとに開発されました。SomaLogic社の約7,000種類のタンパク質測定データのみを入力として用いており、年齢や性別、認知機能検査のスコアなどは一切加えていません。

対象とするのは、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、前頭側頭型認知症(FTD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳卒中/一過性脳虚血発作、そして認知機能正常の計6病態です。

バランス分類精度はALSで95%、PDで92%、正常対照で83%、ADで81%、FTDで72%、脳血管関連で70%に達し、AUC(曲線下面積)は全病態で78%を超えました。単一の疾患を当てるだけでなく、病態ごとの確率を出力することで、これまで見落とされがちだった合併病態の検出にも成功しています。

なぜ重要か

患者側から見れば、高額なPETスキャンや腰椎穿刺といった身体的・金銭的負担の大きい検査を減らし、早期に適切な治療方針を立てられるメリットは絶大です。専門医がいない地域のクリニックでも、血液検査だけで高精度な鑑別診断が可能になる道が開けます。

製薬業界へのインパクトも極めて大きいと言えます。近年登場した新薬の治験において、他の病変が併発している患者が混ざることで薬効が見かけ上打ち消されてしまう問題が頻発していました。このモデルを使えば、治験対象者を厳密に層別化できます。

単一疾患の分類にとどまらず、多病態が入り混じる高齢者の実態に合わせたマルチタスク深層学習を採用した点は非常に合理的です。一方で、SomaLogicの網羅的プロテオミクス解析は依然として検査コストが高く、一般の医療現場に普及させるには、主要なタンパク質を絞り込んだ低コストな検査キットへの落とし込みが不可欠になると見られます。

情報源 (1)

  1. [1]
    nature.com(新しいタブで開きます)原文nature.com

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