ザッカーバーグ氏、AI著作権訴訟でYouTubeを引き合いにデータ利用を弁護
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOがAI著作権訴訟の証言録取で、YouTubeにも海賊版があることを例に挙げ、データセットの一律禁止は不適切だと弁護しました。訴状によると、同社は社内の懸念を押し切って海賊版サイトのデータでLlamaを学習させていたとされています。

巨大IT企業のトップが法廷で、自社のAIが何を学習したのかを追及される場面は、往々にして苦しい弁明に満ちています。
著名作家らがMetaを相手取った著作権訴訟において、同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が昨年行った証言録取の一部が公開されました。海賊版電子書籍データセットの利用を問われた同氏は、意外な例えとしてYouTubeを持ち出しました。
YouTubeを引き合いに出し、LibGenについては「知らなかった」と主張
公開された証言記録によると、ザッカーバーグ氏は、YouTubeにも一時的に海賊版がアップロードされることがあるが、運営側はそれを削除しようと努めており、大半のコンテンツは正当に許諾されたものだと述べました。
その上で同氏は、一部に著作権侵害コンテンツが含まれる可能性があるからといって、YouTubeの利用を一律に禁じる方針を取るべきかといえば、そうではないと反論しました。包括的な禁止措置が常に正しいとは限らない、というのが同氏の論理です。
この弁明が向けられたのは、大手出版社の学術書などを無断公開し、多額の賠償命令を受けてきた海賊版サイト「LibGen(Library Genesis)」のデータ利用についてでした。原告側弁護士の追及に対し、ザッカーバーグ氏はLibGenについて「よく聞いたことがない」「個別の詳細については知識がない」と証言しました。
内部告発と追加訴状が明かす「海賊版の認識」
しかし、原告側が提出した最新の修正訴状には、この証言と食い違う生々しい社内事情が記されています。
訴状によると、MetaのAI幹部や研究チームは当時、LibGenが「海賊版と分かっているデータセット」であると社内で指摘し、利用すれば規制当局との交渉立場を損なうと警告していました。それにもかかわらず、ザッカーバーグ氏自身がLlamaモデルの学習用として利用を承認したとされています。
疑惑はさらに広がっています。原告側は、MetaがLibGenを最新のLlama 3だけでなく、次世代モデルであるLlama 4の学習にも使用していると主張しています。
さらに、MetaはLibGen内の海賊版書籍と正規のライセンス対象書籍を照合し、出版社と契約を結ぶ価値があるかどうかを判断していたとされています。また、著作権付きデータで学習した痕跡を隠すため、ファインチューニング段階で特定のサンプルを意図的に挿入した疑惑や、米当局に摘発された海賊版サイトZ-Libraryから2024年4月までデータを取得していた疑惑も浮上しています。
なぜ重要か
ザッカーバーグ氏がLibGenの正当化にYouTubeを引き合いに出した論理には、大きな無理があると私たちは考えます。
YouTubeは法的なセーフハーバー規定に守られた正規の動画プラットフォームであり、権利侵害への対処システムも備えています。一方のLibGenは、最初から海賊版の集積を目的とした違法サイトです。両者を同列に扱い「一律禁止は避けるべき」と主張するのは、論点のすり替えに見えます。
この訴訟は、生成AI業界が拠り所にしてきた「フェアユース(公正利用)」の防衛線を根本から揺るがしかねません。ネット上の公開データだから許されるという従来の建前に対し、「海賊版と知りながら学習に使った」「利用の隠蔽を図った」といった証拠が法廷で認定されれば、フェアユースの主張は崩壊します。
Llamaをベースに製品やサービスを開発しているエンジニアや企業にとっても、これは対岸の火事ではありません。オープンウェイトの旗手である基盤モデルに深刻な著作権侵害の判断が下されれば、将来的なモデルの差し止めや再学習の要求など、エコシステム全体に甚大な法的リスクが波及する恐れがあります。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
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