OpenAI、YouTube動画の無断学習で集団訴訟に直面:500万ドル超の損害賠償請求
報道によると、米国のYouTubeクリエイターがOpenAIに対し集団訴訟を提起した。数百万件の動画文字起こしを無断でChatGPTなどの学習に利用したと主張し、500万ドル超の損害賠償を求めている。公開ウェブデータの枯渇が進む中、動画音声は生成AIの貴重な学習源だが、著作権を巡る対立が一段と先鋭化している。

ウェブ上の公開テキストが枯渇し始める中、AI大手は動画の音声データに目をつけました。
しかし、その手法がついに法廷闘争へと発展しました。8月5日、米マサチューセッツ州のYouTubeクリエイターであるデイビッド・ミレット氏が、OpenAIを相手取りカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に集団訴訟を提起しました。OpenAIが動画の権利者に通知も報酬の支払いも行わず、数百万件の動画音声を勝手に文字起こししてChatGPTなどの学習に利用したと訴えています。
原告代理人は法律事務所Bursor & Fisherが務めています。訴状によると、OpenAIの行為は著作権法だけでなく、外部アプリによる動画の無断利用を禁じるYouTubeの利用規約にも違反していると主張されています。原告側は陪審裁判を求め、影響を受けたクリエイター全体に対して500万ドル超の損害賠償を請求しました。
社長主導で100万時間の動画を文字起こし
訴状は、OpenAIがクリエイターの成果物を無断で利用してモデルの性能を高め、有料サブスクリプションなどで多額の利益を得ていると批判しています。
大手によるYouTubeデータの流用は、今に始まった話ではありません。ニューヨーク・タイムズ紙は4月、OpenAIが音声認識モデル「Whisper」を開発した主目的の一つが、動画からAI学習用のテキストを収集することだったと報じました。同社社長のグレッグ・ブロックマン氏を含むチームがWhisperを使い、100万時間以上のYouTube動画を文字起こししてGPT-4の学習に投入したとされています。社内でも規約違反を懸念する声が上がっていたと伝えられています。
他社も同様です。7月のProof Newsの報道によれば、Anthropic、Apple、Salesforce、Nvidiaなどが、数十万件のYouTube動画字幕を含むデータセット「The Pile」をAIモデルの学習に使用していました。また、YouTubeの親会社であるGoogle自身も、昨年利用規約を改定し、AI学習へのユーザーデータ活用を大幅に拡大しています。
迫り来るデータ枯渇の危機
各社が動画字幕に群がる背景には、深刻なデータ不足があります。
Originality.AIの調査によると、世界の上位1,000サイトの35%以上がすでにOpenAIのクローラーを遮断しています。MITの調査でも高品質データの約25%が主要データセットから制限されていることが判明しました。調査機関Epoch AIは、このままでは2026年から2032年の間にAIの学習データが完全に底をつくと予測しています。
さらにOpenAIにとって、8月初頭は受難の始まりとなりました。同じ月曜日には、イーロン・マスク氏がOpenAIとサム・アルトマンCEOを相手取り、非営利の理念を放棄したとして再提訴したほか、組織犯罪防止法(RICO)違反にあたる恐喝行為まで申し立てています。
なぜ重要か
個人クリエイターにとって、今回の集団訴訟は自らの動画や音声がAI企業に無断で消費される現状への重要な反撃です。500万ドルの賠償金は一人当たりに分配すればわずかですが、これが認められれば、AI企業は個人クリエイターの作品にも正規のライセンス料を支払わざるを得なくなります。
業界全体にとっても、「フェアユース(公正利用)」を盾にした無差別なスクレイピング路線がいよいよ限界を迎えたことを示しています。ウェブテキストのスクレイピングがブロックされる中、音声を文字起こししてまでデータを集める手法は、権利侵害リスクを跳ね上げました。
当時、Whisperを使って100万時間の動画からテキストを絞り出したOpenAIの手法は、GPT-4を急ピッチで仕上げる上では極めて巧妙な一手でした。しかし現在、それは重い法的負債となって跳ね返ってきています。今後は単に計算資源を競うだけでなく、いかに法的な合意を取り付けたデータを確保できるかが勝負の分かれ目になりそうです。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
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