本文へスキップ
IFAI

業界動向

米特許商標庁が見解:AI利用の発明は特許可能だが、発明者は「人間」限定

公開 拡散指数 49

米国特許商標庁(USPTO)はガイダンスを公表し、特許の発明者として認められるのは「自然人(人間)」に限られ、AIシステム自体は共同発明者にもなれないと明記した。AIを活用した発明自体は拒絶されないが、特定のプロンプト設計や出力の加工など、人間が「重大な貢献」を果たしたことの証明が求められる。

もしAIモデルが独自の機構を持つデバイスを自律的に設計した場合、そのAIを発明者として特許を出願できるでしょうか。米特許商標庁(USPTO)が出した答えは明確に「不可」でした。

USPTOは、AIを利用して生み出された発明に関する新たな審査指針を公表しました。同指針では、特許制度の本質は人間の創造性を奨励し保護することにあるとし、特許を受けられる発明者は「自然人(生身の人間)」に限られると明記されました。AIシステム単独はもちろん、AIを共同発明者として記載することも認められません。

今回の指針は、昨年秋に出された米大統領令に基づくもので、昨年のThaler対Vidal訴訟の控訴裁判決を踏襲した形です。当時、AIを発明者として記載した特許出願は却下されており、今回のガイダンスによって既存の判例が正式な審査実務の方針として整理されました。

プロンプトの工夫が問われる境界線

ただし、AIを活用した発明すべてが特許の対象外になるわけではありません。人間がその発明の着想に対して「重要な貢献」を果たしたと証明できれば、特許を取得することは可能です。

USPTOはその判断基準について興味深い例を挙げています。単にAIに対して一般的な課題を投げかけたり、広範な研究目標を与えたりしただけでは、発明を着想したとはみなされません。例えば、ラジコンカーの重要部品の設計をAIに丸投げし、AIが実質的な構造を作り出した場合、人間側の貢献が不十分として特許は認められません。

また、高性能なAIモデルを所有し管理しているだけでは、そこから出力された発明の権利を主張することはできません。一方で、特定の問題を解決するために工夫を凝らしたプロンプトを構築して意図した解を引き出した場合や、AIの出力をベースに人間が大幅な改良を加えた場合は、発明者として認められる余地があります。法律事務所Dorsey & Whitneyの弁護士Jamie Nafziger氏は、どれほど高度なプロンプトが必要とされるのか、審査官は難しい判断を迫られることになると指摘しています。

なぜ重要か

今回の指針によって、創薬や新材料開発に生成AIを導入している企業は、AIを利用したからといって即座に権利化が否定されるわけではないという安心感を得られました。開発者がプロンプトの設計プロセスや検証、改良の履歴をきちんと文書化して残しておけば、これまで通り特許網を構築できるため、現在AIツールを活用している研究者にとっては試す価値のある明確なルールと言えます。

一方で、抜け穴も存在します。現行のガイドラインでは、出願時にAIの使用を開示すること自体は義務付けられていません。消費者団体Public Knowledgeの法務責任者John Bergmayer氏が懸念するように、特許トロールがAIを使って大量の低品質な特許を出願し、正当な事業会社を脅す材料にするリスクが放置された格好です。

米著作権局が「人間の創作的関与」を求めているのと同様に、特許庁も人間中心主義を死守する姿勢を見せました。しかし、AIエージェントが自律的に実験を回し成果を出す時代において、プロンプトの工夫という曖昧な基準で人間の貢献度を測り続けることには、いずれ無理が生じる可能性が高いと私たちは考えています。

情報源 (2)

  1. [1]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com
  2. [2]
    cnn.com(新しいタブで開きます)報道cnn.com

トピックを追うAIの発明者性と特許法

このトピックのニュース。新しい順です。

  1. 米特許商標庁が見解:AI利用の発明は特許可能だが、発明者は「人間」限定この記事
  2. 英最高裁、AIは特許の「発明者」になれないと全会一致で判決

毎日のAIピックアップ