米政府、NvidiaとAMDの先端AIチップ輸出規制を中東の一部国家に拡大
米政府がNvidiaやAMDの先端AIチップの輸出規制を中国以外の中東一部国家にも拡大し、A100やH100の出荷にライセンス取得を義務付けたことが明らかになった。両社は短期的な業績への影響はないとしているが、先端AI半導体を巡る規制網が世界的に広がりつつある。

米政府による最先端AIチップの包囲網は、もはや中国だけに向けられたものではなくなってきた。
8月30日のロイター報道によると、米政府はNvidiaおよびAMDの高性能AI半導体に対する輸出規制を、中国以外の地域、具体的には中東の一部国家へと拡大した。Nvidiaが米証券取引委員会への提出書類で明らかにし、関係者の話としてAMDにも同様の通知が届いたことが確認された。
出荷ライセンス制を導入、商務省は「全面停止ではない」と説明
Nvidiaが8月28日付で提出した書類によると、同社は2024年度第2四半期中に米政府から通知を受け、中東の一部の国を含む特定顧客および地域向けのA100およびH100製品について、追加の輸出ライセンス取得が義務付けられたという。
これらのチップは、大規模言語モデルの学習や高速処理に不可欠な主力製品だ。関係者によると、競合のAMDも同様の制限通知を受け取っている。
一方で米商務省の報道官はロイターに対し、バイデン政権は「中東へのチップ販売を阻止したわけではない」とコメントした。特定企業への要請有無については明言を避けたものの、実質的には取引を完全に禁じるのではなく、個別審査による許可制を敷いた格好だ。
業績への直接的な打撃は限定的
足元のビジネスという観点では、両社への打撃はそれほど大きくない。
Nvidiaは声明で、今回の規制が業績に「即時かつ重大な影響を与えることはない」とし、意味のある売上シェアには影響しないと説明した。7月30日に終了した四半期の売上高135億ドルの大半は米国、中国、台湾が占めており、その他すべての国を合わせても全体の約13.9%にすぎない。中東単独の売上高は開示すらされていない規模だ。AMD側も同様に影響は軽微と見ている。
しかし、昨年秋の流れを振り返ると警戒感は拭えない。米政府は昨年9月にA100やAMD MI250などの対中輸出審査を厳格化し、翌10月には包括的な輸出規制を発動した。その結果、NvidiaやIntelなどは中国専用の性能制限モデルを開発せざるを得なくなった経緯がある。
なぜ重要か
今回の措置は、売上高の数字以上に地政学的な転換点として重い意味を持つと私たちは考えている。
まず中東諸国にとって、AI野望へのブレーキになりかねない。アラブ首長国連邦やサウジアラビアなどの産油国は現在、独自の基盤モデル開発やデータセンター建設に巨額のオイルマネーを投じている。ハードウェアの調達に米政府の承認が必要になるということは、現地拠点がいつ供給制限を受けるか分からないリスクを抱えることを意味する。
また業界全体で見れば、米国の規制方針が「特定国家の遮断」から「世界規模での抜け穴塞ぎ」へとシフトしたことを示している。中東のデータセンターを経由して第三国が計算リソースを遠隔利用したり、現物チップが転売されたりするリスクを、米政府は先回りで警戒し始めているようだ。
最先端のAIコンピュートは、完全に国家の安全保障資源として扱われる時代に入った。今後も軍備拡張のような算力獲得競争が続く限り、米国の許可リストはさらに拡大していく可能性が高い。
情報源 (4)
- reuters.com(新しいタブで開きます)原文reuters.com
- telecom.economictimes.indiatimes.com(新しいタブで開きます)報道telecom.economictimes.indiatimes.com
- techcentral.co.za(新しいタブで開きます)報道techcentral.co.za
- tech.yahoo.com(新しいタブで開きます)報道tech.yahoo.com
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