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業界動向

英政府がAI研究に年100万ポンドの賞創設、9億ポンド投じスパコン構築へ

公開 拡散指数 38

英ハント財務相が春季予算案で科学技術分野への大型投資策を発表した。重要AI分野の研究者を対象とした年100万ポンドの「マンチェスター賞」を10年間授与するほか、9億ポンドを投じてエクサスケール・スーパーコンピュータを構築する。独自基盤モデルなど主権的能力の強化を狙うが、長期的な実現性には不透明感も残る。

大規模なストライキで国内が揺れる中、イギリスのジェレミー・ハント財務相は春季予算案を発表し、停滞する経済を打破すべくテクノロジー分野への大規模な投資計画を打ち出しました。

インフレやEU離脱後の影響が色濃く残る中、直前にはシリコンバレーバンク(SVB)英国法人がHSBCに救済買収されるなど、スタートアップ市場の緊張は続いています。政府は国家主導で巨額資金を投じ、エコシステムの立て直しを図る構えです。

9億ポンドのエクサスケール計算機と年100万ポンドのAI賞

予算案で最も目を引くのは、計算インフラとAI研究への手厚い支援です。

政府は研究プロジェクトや大規模計算を担う「エクサスケール・スーパーコンピューター」の構築に9億ポンドを投じると発表しました。これは量子コンピューターとは明記されておらず、喫緊の研究開発を支える大型基盤と位置づけられています。

AI分野では、今後10年間にわたり毎年100万ポンドを授与する「マンチェスター賞(Manchester Prize)」を創設します。対象はAIの重要領域で成果を上げた研究者で、背景には英国独自の「ソブリン基盤モデル」を育成する狙いがあります。あわせて国家戦略を策定するタスクフォースも立ち上げる予定です。

地域支援としては、マンチェスター、バーミンガム、グラスゴーの3都市のイノベーション集積地に1億ポンドを投入し、AI、ヘルスケア、量子技術にまたがる26件の研究開発プロジェクトを採択します。

3640億ポンドの年金資金を誘導、量子技術にも10年投資

スタートアップの資金不足を補う施策も盛り込まれました。2018年から運用されている政府系ファンド「British Patient Capital」には、今後10年で30億ポンドが追加拠出され、研究開発型の高成長企業へ投資されます。

さらに、総資産3640億ポンド規模の地方自治体年金制度(LGPS)に対し、革新的企業や生産的資産への投資を促す方針を表明しました。民間年金の呼び水となる長期投資イニシアチブ「LIFTS」も展開します。

長期的なフロンティア領域として量子技術にも焦点を当て、今後10年間で最大25億ポンドを拠出する計画です。基礎研究だけでなく、実証実験を行う企業への助成や規制の枠組み作りまで幅広くカバーします。

一方、労働党のキア・スターマー党首は、この予算案を「絆創膏を貼っただけ」と批判し、国の根本的な課題に対処できていないと反発を示しています。

なぜ重要か

大学の研究室やディープテック系の研究者にとって、毎年100万ポンドの返済不要な賞金や9億ポンド規模の計算リソースは大きな追い風となります。VCの投資意欲が冷え込む局面において、民間マネーが届きにくい基礎研究をつなぎ止める効果は小さくありません。

業界全体として見れば、英国が「ソブリン基盤モデル(自国主権のAI基盤)」を公に掲げた点が注目されます。基盤モデルや計算インフラを米国の巨大テック企業に全面的に依存することへの強い警戒感が表れており、欧州勢としての防衛策といえます。

地方年金マネーを活用してリスクマネーの厚みを増そうとする手法は、カナダなどの先行事例にならった現実的なアプローチだと評価できます。しかし、これらの投資計画はいずれも10年単位の長期構想です。政権交代の可能性や政治的な流動性を抱える中、巨額の予算が計画通りに執行され続けるのか、それとも途中で立ち消えになるのか、慎重に見極める必要があります。

情報源 (1)

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    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com

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