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研究

UCLA、光速で計算する光ニューラルネットワークを開発:数千の波長で並列処理

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IEEE Spectrum は UCLA の研究チームが光子を用いた広帯域回折型光プロセッサを開発したと報じた。波長多重化によって数千の波長で同時・光速に行列計算を実行でき、光源以外の電力をほぼ消費しないため、AI の省電力化の切り札として期待される。

UCLA、光速で計算する光ニューラルネットワークを開発:数千の波長で並列処理
画像:spectrum.ieee.org

AI モデルが巨大化するにつれて、データセンターの電力消費は限界に近づきつつあります。トランジスタのスイッチングで電子を動かす従来のシリコン半導体では、発熱と消費電力の爆発的な増加を避けられません。

そこで注目されているのが、電子の代わりに「光」を使って計算する光コンピューティングです。1 月 18 日付の IEEE Spectrum は、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の光学エンジニア Aydogan Ozcan 氏らの研究チームが、光速で行列演算を実行できる広帯域回折型光プロセッサを開発したと報じました。

研究成果は 1 月 9 日付の学術誌『Advanced Photonics』に掲載されています。

光を通すだけで画像認識が完了する仕組み

この「回折型光ニューラルネットワーク」は、従来の半導体チップとはまったく異なる構造をしています。

装置は 3D プリントで作られた複数の薄い層を重ねたもので、各層には光を回折・散乱させる微細なピクセルが敷き詰められています。この回折構造のひとつひとつが、ニューラルネットワークにおける「ニューロン」の役割を果たします。

一般的な電子デバイスの場合、カメラで撮影して画像データを保存し、GPU などでプログラムを動かして物体を認識します。一方、この光プロセッサは対象物からの光をそのまま受け取り、光が層を透過しながら回折することで、特定の認識結果に対応する出力ピクセルへと自動的に光が集まります。Ozcan 氏によれば、照明光を除けば計算自体は電力を消費しません。

波長多重化で数千チャンネルを並列処理

チームは以前にも単色光による回折ネットワークを開発していましたが、1 つの波長では 1 回の行列乗算しか行えませんでした。

今回のブレークスルーは、通信技術でおなじみの「波長多重化」を取り入れた点です。研究チームは各層に 14,400 個の回折特徴を持つ 3 層のプロセッサを 3D プリントで試作し、2 つのテラヘルツ周波数チャンネルで動作を実証しました。

さらにコンピュータモデルによる検証では、最大で約 2,000 もの波長チャンネルを同時に処理できることが示されました。光速で進む一束の光の中に異なる波長の信号を乗せることで、数千件の行列演算を同時にこなせる計算になります。

なぜ重要か

AI の普及を阻む最大の要因が「エネルギー問題」であることは間違いありません。微細化の物理的限界が迫る中、行列演算のような膨大な計算負荷を丸ごと光学現象に肩代わりさせるアプローチは、極めて合理的です。

特に価値を発揮しそうなのが、自動運転や医療診断、リモートセンシングといったリアルタイム処理が求められるエッジ領域です。光がレンズを通過する一瞬で物体の検知や分類が済むため、高価で電力を食う車載 GPU や通信インフラの負担を劇的に減らせる可能性があります。

もっとも、これですぐに電子チップが不要になるわけではありません。現状の 3D プリント回折層は、いわば物理的に重みを焼き付けた「書き換え不能な固定回路」であり、ソフトウェアのように柔軟なパラメータ変更は困難です。また、実験で確認されたのはテラヘルツ帯の 2 チャンネルであり、可視光域で 2,000 チャンネルを安定して並列処理するには超微細加工の壁もあります。それでも、光の物理現象そのものを計算機にする道筋を示した意義は非常に大きいと言えます。

情報源 (1)

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    spectrum.ieee.org(新しいタブで開きます)原文spectrum.ieee.org

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