英サリー大の「PEnG」:GPSなしで都市部の測位誤差を22mに短縮
英サリー大学の研究チームがGPSに頼らない位置推定AI「PEnG」を発表した。衛星写真と車載単眼カメラの映像を照合する二段階の姿勢推定により、都市部での誤差を734mから22mへと大幅に削減した。トンネルや高層ビル街でも機能する自動運転向け技術として期待されており、研究成果はオープンソースで公開されている。

PEnG(Pose-Enhanced Geo-Localisation)は、GPS衛星の信号を一切使わずに自己位置を特定できるオープンソースの視覚ナビゲーションシステムだ。高層ビル群やトンネルなど電波が届きにくい都市部において、上空からの衛星画像と車載カメラの地上映像を照合し、現在地とカメラの向きを割り出す。
仕組みと測位精度
システムは二段階で位置を絞り込む。まず地上レベルの映像から大まかな現在地を特定し、続いて相対姿勢推定技術を用いてカメラの撮影角度や向きを計算して位置を微調整する。
最大の特徴は、必要なハードウェア要件が極めて低い点にある。高価なLiDARや複雑なセンサーフュージョンを必要とせず、一般的な市販車に標準搭載されている安価な単眼カメラ1台の映像だけで処理を完結できる。
高層ビルに囲まれた都市環境の検証では、従来の視覚推定で734メートルに達していた位置誤差を、PEnGは22メートルにまで縮小した。誤差を約40分の1に抑え込んだ計算になる。
公開状況と今後の展開
英サリー大学の研究チームが開発を手がけ、研究成果は学術誌「IEEE Robotics and Automation Letters」に掲載された。
研究コードはオープンソースとして公開されており、ロボット工学や自律走行に携わる開発者が検証や改良を進められる状態になっている。チームは現在、実際の道路環境でテストを行う実動プロトタイプの製作を進めている。
なぜ重要か
自動配送ロボットやドローン、自律走行システムを開発しているエンジニアにとって、PEnGはすぐに試す価値がある。高精度マップや高額なセンサーを追加購入することなく、誰でも入手できる衛星写真と安価な単眼カメラだけで、GPS圏外でも実用的な位置を保てるからだ。
ただし、22メートルの誤差は自動車が車線を保って走るにはまだ粗い。完全な単独走行システムとして使うのではなく、トンネルやビル街でGPSを見失った際のフェイルセーフ層として、ホイールエンコーダやIMUと組み合わせて使うのが現実的だろう。
情報源 (1)
- interestingengineering.com(新しいタブで開きます)原文interestingengineering.com