Stability AIが身売り模索か:投資家がCEO辞任要求、月800万ドル消費
報道によるとStable Diffusionを手がける英Stability AIが複数社に身売りを打診している。主要投資家のCoatueが同社CEOの辞任を要求したとされる。月約800万ドルの支出に対し売上はわずかで財務が圧迫されているが、広報担当者は売却方針を否定している。

オープンソースAIの旗手として脚光を浴びてきた英Stability AIが、深刻な資金難と経営危機の渦中にあります。
画像生成AI「Stable Diffusion」を手がける同社が、水面下で身売りを模索していることが関係者の証言で明らかになりました。ここ数週間、複数の企業に対して買収を持ちかけており、初期段階の交渉が行われたと報じられています。現時点で合意が間近に迫っているわけではなく、交渉を打ち切る可能性も残されています。
月額800万ドルのバーンレートと売却模索
関係者によると、買収先として打診された企業には、法人向けAIモデルを開発するカナダのCohereが含まれていましたが、同社は交渉を拒否したとされています。また、AIマーケティング支援のJasperにも接触したと報じられています。
これに対しStability AIの広報担当者は、身売りを試みているわけではなく、直近の動画生成モデルのように最先端モデルの提供に注力しているとメールで否定しました。
しかし、財務状況は火の車です。10月に米Intelから5000万ドル弱の転換社債による出資を受けた時点で、同社は給与や経費で毎月約800万ドルを費やしていたのに対し、売上はそのごく一部にとどまっていました。
同社CEOのエマド・モスタク氏は今週、X(旧Twitter)上で8月の売上が120万ドルで、今月は300万ドルに達する見込みだと投稿したものの、その投稿はすでに削除されています。
投資家がCEO退任を要求、役員の離脱相次ぐ
資金流出が続くなか、主要投資家との対立も表面化しています。同社をユニコーンへと押し上げた立役者であるCoatue Managementは10月下旬、経営陣宛ての書簡でモスタクCEOの退任を要求しました。
関係者によれば、Coatueはモスタク氏のリーダーシップが多数の幹部離脱を招き、財務を危機的状況に陥れたと主張しています。さらに同書簡では、モスタク氏ら経営幹部の報酬詳細の開示も求められたとされています。
経営陣の離脱も深刻で、ヘッジファンドや暗号資産界隈出身であるモスタク氏の無秩序な組織運営を嫌気した研究者が次々と去っていると報じられています。さらに、Coatueの幹部が取締役を辞任し、Lightspeedのパートナーもオブザーバー席を退くなど、投資家との関係は急速に冷却化しています。
9月にIntelのAIスパコンの主要顧客として発表された同社ですが、関係者によるとIntelからの出資はプロセッサ利用が条件に含まれていたとされます。Stability AI側は特定ハードウェアの利用義務を否定していますが、厳しい台所事情が透けて見えます。
なぜ重要か
Stable Diffusionを日常的に使うクリエイターや開発者にとって、この動向は見過ごせません。モデルの重みファイル自体は残るとしても、資金が尽きれば今後のバージョンアップや基盤研究が停止するリスクが極めて高いからです。
業界全体にとっても、これはオープンソース基盤モデルのビジネスモデルが直面した最大の試練と言えます。誰もが使えるオープンな姿勢で知名度とコミュニティを獲得したものの、毎月800万ドルに達する膨大な計算資源と人件費を賄うだけの収益化モデルを築けませんでした。
私たちは、この危機は時間の問題だったと見ています。OpenAIのように巨大テック企業と組んで有料サブスクやクラウド基盤に直結させるか、Cohereのようにエンタープライズ特化で着実に稼ぐかのどちらかでなければ、基礎モデル開発を自力で維持するのは不可能です。生成AIブームの最初の大型破綻あるいは買収劇となるのか、同社の去就は業界の勢力図を大きく揺るがしそうです。
情報源 (1)
- fortune.com(新しいタブで開きます)原文fortune.com
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