Sakana AIがFugu MaxとUltra v2を公開:複数モデル統合でコスト最大6割削減
Sakana AIはモデルオーケストレーション基盤「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」を発表した。Fugu Maxはオープンモデル群を動的に振り分け、出力コストを主要フロンティアモデル比で40〜60%削減。Ultra v2は難関のDeepSWE等で首位を獲得した。単一の巨大モデルに頼らず、モデル協調でコストと性能の両立を図る点が注目される。

単純なデータ検索のためだけに数兆パラメータの巨大モデルを呼び出すのは、賢い選択というより単なる無駄遣いです。
Sakana AI は「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」をリリースしました。これらはゼロから単一の巨大モデルを訓練したものではなく、多数のオープンモデルや特化型モデルを動的に束ねて切り替えるオーケストレーションシステムです。
コスト重視の Max と、最高性能を狙う Ultra v2
2 つのシステムは同じ基本構造を持ちながら、最適化のベクトルが明確に分かれています。
Fugu Max の狙いはコストの極小化です。価格は入力 100 万トークンあたり 2 ドル、出力 100 万トークンあたり 6 ドルに抑えられており、Sonnet 5 や GPT 5.6 Terra、Kimi K3 と比較して出力コストを 40% から 60% 削減しました。NVIDIA の Nemotron ファミリーをはじめとするモデル群をタスクに応じて割り振ることで、Terminal Bench 2.1 や SWEFish を含む 6 つのベンチマークでトップスコアを記録しています。
一方の Fugu Ultra v2 は、長時間の推論や複雑なコーディングなど限界性能の追求に振り切ったモデルです。8 つの主要ベンチマーク中 5 つで首位を獲得し、ソフトウェア開発を測る DeepSWE で 74.3 点、視覚推論テストの Chartography では Opus 5 の 27.3 点や Fable 5 の 29.5 点を大きく引き離す 48.3 点を叩き出しました。
ここで見逃せないのは、Fugu Ultra v2 のモデルプールに Fable 5、Fable 5.1、GPT-6-Astra などの最前線の商用モデルが含まれていない点です。いずれも OpenAI 互換 API 経由で提供されており、パラメータを 1 行変更するだけで利用できます。
なぜ重要か
私たちは、Sakana AI のこのアプローチは非常に現実的かつ巧みだと考えています。AI 業界は単一モデルの巨大化を競い合ってきましたが、実際の開発現場で直面するのは膨らみ続けるトークン費用の問題です。オープンモデルを賢く使い回すことで、超高額な閉鎖型モデルと同等以上の成果を出せるなら、試さない手はありません。
特定の巨大ベンダーへの依存を断ち切れる点も強力です。API の仕様変更や値上げ、地政学的なリスクに怯える企業にとって、入れ替え可能なオープンソース群で足回りを固める設計は有効な自衛策になります。
課題があるとすれば、ルーティングに伴う遅延と判定精度です。タスクの難易度を見誤って不適切な小型モデルに振ってしまうと、余計な手戻りが発生する懸念は残ります。とはいえ、単一モデルの性能競争から「賢く配分するシステム」へのシフトを加速させる動きとして、注目に値します。
情報源 (1)
- sakana.ai(新しいタブで開きます)原文sakana.ai