米上院が「No Fakes Act」草案提示:本人の同意なきAI複製を禁止へ、SAG-AFTRAも支持
米上院の超党派議員が「No Fakes Act」の議論草案を公表し、ストライキ中の米俳優組合(SAG-AFTRA)が支持を表明した。本人の同意なく音声や容姿をAIで複製することを連邦レベルで禁じる内容。スタジオ側が生成AIを用いてエキストラなどの人件費を削減する動きに歯止めをかける狙いがある。

ハリウッドの俳優たちがストライキを続ける中、米連邦議会から強力な援軍が現れました。
全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)と映画製作者協会(AMPTP)の交渉が決裂した直後、超党派の米上院議員4名が「No Fakes Act」の討議草案を公表しました。
この法案は、本人の同意なしにAIで声や肖像を複製・利用することを連邦法レベルで禁止することを目指しています。
SAG-AFTRAはこの草案に即座に全面的な支持を表明しました。
同意なきデジタルクローンを禁止へ
草案を提出したのは、民主党のクリス・クーンズ議員とエイミー・クロブシャー議員、共和党のトム・ティリス議員とマーシャ・ブラックバーン議員です。
法案の正式名称は「Nurture Originals, Foster Art, and Keep Entertainment Safe Act」で、音声録音や映像作品において、本人の明確な同意なく声や外見をAIで複製・流用することを違法と位置づけています。
これはストライキ中の俳優たちがまさに求めていた条件そのものです。
スタジオ側がエキストラをスキャンし、1日分の日当だけで将来にわたって自由にデジタル複製を利用しようとするコスト削減策に、真っ向から歯止めをかける狙いがあります。
SAG-AFTRAのフラン・ドレシャー会長は、声や外見は表現者固有の本質であり、無断使用は許されないと指摘し、同意こそが不可欠だと歓迎の意を示しました。
クーンズ議員も、個人の権利保護、合衆国憲法修正第1条の表現の自由、そしてAIイノベーションの促進のバランスを取る重要性を述べています。
なお、現時点では正式な法案提出ではなく、広く意見を募る討議草案の段階です。
なぜ重要か
スタジオとの労使交渉が暗礁に乗り上げたタイミングでこの草案が出たことは、労働者側にとって極めて大きな後押しになると考えられます。
クリエイターや俳優にとって、肖像や声の権利が個人の明確な同意に基づくものと連邦法で定められれば、資本力のあるスタジオによる一方的な権利奪取を防ぐ強力な盾になります。
一方でAI業界にとっては、実在の人物の音声や映像データを無断で学習・生成に使うグレーゾーンビジネスが法的に封じられることを意味します。音声生成やアバター生成を手がける企業は、厳格な許諾フローの整備を迫られることになります。
この動きの巧みな点は、党派対立を超えて「個人の声と顔を守る」というわかりやすい権利保護に論点を絞った点です。
しかし、表現の自由やパロディ、風刺との線引きをどう規定するかという難題は残されており、実際の法制化までには激しい議論が予想されます。
情報源 (1)
- gizmodo.com(新しいタブで開きます)原文gizmodo.com
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