四足歩行ロボットが梯子登りに成功、ETHチューリッヒが強化学習で従来比232倍の速度を実現
スイス連邦工科大学チューリッヒ校は四足歩行ロボット「ANYMal」が梯子を登る新技術を発表した。専用フックと強化学習を組み合わせ、傾斜70〜90度の梯子を90%の成功率で走破し、従来比232倍の高速化を達成。足を踏み外してもリアルタイムで姿勢を立て直せるのが強みだ。
Boston Dynamics の Spot をはじめとする四足歩行ロボットは、階段の昇降や悪路の走破ではすでに高い実用性を示しています。しかし、プラントなどの産業現場に無数に存在する垂直ハシゴは、依然として大きな壁でした。
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)の研究チームは、スピンオフ企業 ANYbotics の四足歩行ロボット「ANYmal」を使い、急勾配のハシゴを高速で登る新手法を実証しました。
専用フックと強化学習によるリアルタイム自己修正
これまでロボットによるハシゴ昇降の試みは、主に二足歩行ヒューマノイドと特注のハシゴを組み合わせたものが大半でした。しかし動作が極端に遅く、実用レベルには程遠い状態が続いていました。
研究チームはアプローチを根本から見直しました。まず ANYmal の足先に、ハシゴの桟に引っ掛ける専用のエンドエフェクターを取り付けました。
そして最大の強みが強化学習の導入です。段ごとの微妙な間隔や傾きをアルゴリズムがリアルタイムで適応判断します。
もし足を掛け違えたりタイミングを誤ったりしても、システムが即座に動作を自己修正し、体勢を立て直して登り続けることができます。
実験では、傾斜角 70 度から 90 度のほぼ垂直なハシゴにおいて 90 パーセントの成功率を記録しました。
さらに昇降速度は、既存の最先端システムと比べて実に 232 倍に跳ね上がったと報告されています。
なぜ重要か
石油精製所、化学プラント、鉱山などの過酷な現場で点検を行う現場責任者にとって、この技術は大きな意味を持ちます。
施設内に張り巡らされた垂直ハシゴを登れなければ、ロボットの活動範囲はワンフロアに限定され、高所作業は人間が危険を冒して行うしかありませんでした。専用の設備改修なしに既存のハシゴを使えるなら、導入コストは劇的に下がります。
技術的アプローチとしても極めて賢明だと考えられます。現在業界の注目は二足歩行ヒューマノイドに集まりがちですが、安定性と実用性を両立する上では、四足ロボットに専用フックと強化学習を組み合わせるほうが遥かに合理的です。232 倍という速度差がそれを裏付けています。
一方で課題も明確です。実験室での成功率 90 パーセントは優れていますが、油汚れやサビがある本番の現場で 10 パーセントの落下リスクは許容されません。高所からの落下は機体全損だけでなく作業員の安全にも関わるため、今後は確実な落下防止機構との連携が実用化の鍵を握るはずです。
情報源 (2)
- youtube.com(新しいタブで開きます)原文youtube.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com